がちゃがちゃ

異端審問官は新米子羊の夢を見るか?

 相変わらず外は吹雪いているというのに、洞窟の中は不思議とそれほど寒くはない。
 テメノスは鎧を脱いだクリックのあちこちへ触れていく。インナーの中へ手を滑り込ませるとやっと心臓が動いていることを確認できて、表情を綻ばせていた。
「君のことは、私があたたかくしますから……」
 テメノスは、つう……と指を下へと走らせる。そして既に兆している箇所を服の上からなぞると、クリックの呼吸に熱がこもり始めた。そのまま下着ごと服をずらす。勢いよく上を向いたペニスが現れて、はじめて見るわけでもないのに、お互いが気恥ずかしさを含んだ吐息を漏らした。
 何も言わないまま、四つん這いになったテメノスはクリックのソレに口づける。愛おしそうに、キスをするように、食むように唇で愛撫をはじめた。
「ん、ン」
 舌で幹を舐めながら白い指で亀頭を撫でている。そのまま、ちゅ、と音を立てるとびくびくと震えはじめた。
 口淫を続けながらテメノスが視線を上げる。じっと上から見下ろしてきている男の目には欲と熱が入り混じっていた。
 それに気をよくして、先端から奥まで口に含んだ。じゅぽじゅぽと吸うように口で扱くと、ついにクリックの手が伸びてきた。
「テメノスさん、も、離してください……ッ」
 限界が近いのだろう、クリックは必死にテメノスをソレから離そうとしている。
 しかし反対にテメノスはより深く咥えはじめる。じゅう、と強く吸えば、口内に熱が放たれていった。

 クリックの小さな声を聞いて、テメノスはやっと顔を離した。
「ごめ、ごめんなさ、い……吐き出してください」
 驚きと興奮からか、動揺しているクリックは声が上ずっていた。
 一方テメノスは冷静なまま、誰が吐き出してやるかと言わんばかりにクリックの見ている前で喉を上下させた。
「何やってるんですか!?」
 唖然としているクリックをよそに、テメノスは舌を出して見せつける。それを見て、達したばかりだというのに彼の萎えていたものは再び熱を持って上を向いていた。

 固まったままのクリックの膝へ、テメノスが対面になるよう跨る。その途中で服は脱ぎ捨てられ、互いに曝け出した肌を密着させていた。
 そしてテメノスは逞しい首に両手をまわすと器用に腰を揺らし、屹立へ自らの窄まりをあてがう。
 そこでやっとクリックはテメノスの肩へ手を置き、確認するように見つめた。
「本当に、良いんですか……?」
 良いに決まっている。それを伝えたくてキスをすると、クリックは口を噤んでしまった。
 にこりと微笑めば顔を赤らめるばかりで、どうしようもなく可愛い。熱に浮かされながらテメノスがゆっくりと腰を落とすと、亀頭が後孔を暴く様に抉った。
「あッ、ぁ!」
 先端を咥えるだけで力が抜けそうになる。必死に耐えながら腰を揺らし、奥へ強請る様に隘路で愛撫を続けている。
「クリックくん、クリックくん……」
 何度も名前を呼んでしまう。繋がった箇所からは卑猥な音が漏れ、外の様子など忘れさせるようだった。
 すると、下からクリックが突いてきた。突然の刺激に耐えられず、テメノスは仰け反ってしまう。
「や、あアっ!」
 突かれる度に身体が跳ねそうになり、テメノスはクリックにしがみついた。与えられる快感をひとつも逃したくはない。
「テメノスさん、好きです」
「ッんン、ぅ……」
 好き。そう言われと無意識に身体が反応してしまう。自分の意識とは無関係に締め付けてしまい、クリックの息が荒くなった。
「ナカ、締まってる……僕のこと好きになってくれて嬉しいんです、ずっと、ずっとあなたのこと、大切にしますから」
「クリックく、ん……ッは、あんっ!わたしも好き、ずっと、離れないで……お願い、だから」
 失う怖さを知っている。奪われる絶望も知っている。あんなこと、もう二度とごめんだ。
「あ、んッもクリックくん、もぅ、出ちゃ、あ、ん……ッ!」
 下から深く貫かれ、テメノスは熱を放った。直後、胎内で咥えていたものがびくびくと震えはじめる。奥深くへどくどくと欲を注がれ、高揚感にクリックへと身体を預けるように凭れかかった。
 触れた箇所はどこも熱い。もう一度その熱を感じたくてテメノスから口づけると、クリックは優しく抱き返していた。

 * * * * * * *

「雪、やっと止みましたね」
 朝日が昇り始めた頃、吹雪いていたのが嘘のように外は快晴だった。
 身なりを整え、二人揃って洞窟から出る。昨夜クリックが見つけただろうカニス・ディルスの亡骸を、今ははっきりと確認することが出来た。
「最近は吹雪くことが多く、街から外れた場所では雪崩が頻繁に起こっていました。その影響で近辺の魔物の巣窟との障壁に綻びが生じたのかもしれません」
 クリックが悲しそうに呟く。魔物とは言え、無駄な殺生など進んで行いたくはない。しかし生きている世界、種族、それらが違うだけで争わなければならない。
「人間同士でさえ争いが絶えないと言うのに、私たちは無力な存在です。でも、きっと君たちなら正しい道を歩めると信じていますよ」
 洞窟を背にしたテメノスが歩きはじめる。
「はやく帰りましょう。オルトくんたち、きっと心配していますから」