from eternity
それからというもの、以前までの清い関係が嘘であったかのように乱れに乱れた関係が始まった。
今まで通り、互いに時間を作っては顔を合わせている。それは変わりないのだが、たとえ短時間であろうと身体を繋げるようになってしまった。
逢瀬のたびに性交を繰り返すのは別に悪いことではないと思う。毎日会えるわけではないので、溜まるものは溜まる。もっと触れあいたいと思う。お互い欲しがっているのだから。
だが、しかし……、……。
「あッあぁ、んン、あ……ッ♡」
ストームヘイルの街外れにて。今、こうして繋がってしまっている。
薄暗い路地裏で、壁に手をついて腰を上げ、こちらに向かって魅惑的な臀部を突き出しているテメノスさんを背後から突く。お互い中途半端に服を脱ぎ、下半身だけ晒している。なんとも情けない格好だ。なのにこうも劣情を煽られるのは、お互い欲にまみれているからだ。
今日は朝からテメノスさんがストームヘイルへ訪れていた。彼がやって来ることは事前に手紙で知らせてもらっていたので、到着早々出迎えて、それだけで終わらせるつもりだった。
というのも、今日は午後から任務でストームヘイルから離れなければならなかった。だから休憩時間だけでも顔を見られればいいと、そう思っていた。本当にそれだけのはず、だったのだ。
しかし、いざテメノスさんと二人きりになるとお互い何を思っているのか伝わる様になってしまっていた。この街には連れ込み宿など無い。僕は寄宿舎暮らしなので、無関係の人間を入室させるわけにもいかない。そういうわけで、どちらが何かを言ったわけでもなく、気が付けば二人で人気のない街の奥へ向かっていたのだった。
神の剣と称される聖堂騎士の自分がこのような不品行を働いていいわけがない。……とは思っているが、実際、似たようなことをしている騎士は多い。騎士は結婚でもしていなければ他人と過ごす時間は限りなく少ない。毎日家に帰れるわけでもなければ、休みも不定期だ。空いた時間に好き合っている相手とこうして肌を重ねたいと思う人間は多いので、こういった現場に遭遇することも間々ある。
だからといって、民間人が暮らすこの街で行っていいことではない。それは分かっている。
しかし、しかしだ。ひと月に数度しか会えない、それもタイミングが悪ければ数か月に一度しか会えない人が、目の前にいるのだ。22歳の男が我慢できるわけがなかった。ある意味で健康的であると自分に言い聞かせてしまう。
言い訳をするならば、今まではこんなことは一度だって無かった。たとえ恋人と数か月会えなかったとしても、なんとかなっていた。今思えば、それが“つまらない人”と言われてしまう原因だったのだろう。
それが今ではテメノスさん相手ではそうはいかず、顔を見るたびに抱きしめたくなるし、ずっと隣にいてほしいと独占したくなってしまう。それをオルトへ打ち明けた時には「病気だ病気」と吐き捨てられてしまったが、例え病気でも良い。恋の病だと言い返した時には笑っていたので、僕たちの仲を悪く思っているわけではない、と信じたい。
だから、というわけではないが。愛しい相手との久しぶりの逢瀬、それも数時間しか一緒にいられないのだ。寛容な主は、きっとお目こぼしくださるに違いない。
回想に耽る頭を現在へと戻し、目の前で自分に突かれて乱れているテメノスさんを見る。どんな顔をしているのかは分からないが、きっと蕩けた表情に違いない。
ずぷ……と奥を抉る様に突きながら彼の肩を掴んで無理やりこちらへと顔を向かせる。すると眉を下げ、劣情に塗れた瞳でこちらを見つめていた。
「テメノスさん、それ……駄目ですって」
汗のせいで垂れてくる髪が鬱陶しくて、かきあげながら深く突く。
「なにが、ぁ……あ、んンッ♡」
艶っぽい声で啼きながら腰を揺らし、更に煽ってくる。はじめは抑え気味だった声は徐々に大きくなり、人目など気にもしていないのではないかと思わせてくる。そんなわけは、無いのだが。
「声、聞こえちゃいますよ」
「だって、声、出ちゃ……あ、あン♡」
艶めかしい臀部に腰を打ち続けていると、もっと奥へと強請る様にキツく締め付けられた。僕から種を絞ろうとしている。
一際深く突けばテメノスさんはびくびくと身体を震わせながら射精して、壁に両手をついたまま肩で息をしている。そんな姿を見ながら抽挿を続けていると、裏路地には似つかわしくない声があがった。
「やぁ、あッあん♡だめ、今イったばっかりだから、ぁ♡」
「すみません、もうちょっとだけ付き合ってください……」
「ッん、あァ、ひぅっ♡も、許して……ッ♡」
許しを乞うてはいるが、彼はいつだって僕にこうされることを期待していたのだと知ってからは聞く耳を持たなくなってしまった。
そのせいで、何度も彼の中へ出したというのに射精したりない。まだ彼を離したくない。
次に会えるのは、いつだったか。恐らく数週間、いや、一ヵ月後だったか……。