わたしは月を見ている
しばらくするとテメノスさんは目を覚まし、綺麗になった状態で寝転んでいることに気が付くと気まずそうにしていた。
「すみません、すっかりクリック君に甘えてしまいました」
後処理を終えた僕も彼の隣へ寝るようにベッドに潜り込み、「気にしないでください」と顔のラインに沿ってサラサラと流れる白銀色の髪を撫でた。
「僕の方こそ、好き勝手してしまって……ところで、ですが」
「ん。なんですか?」
再び寝てしまいそうなテメノスさんを抱き寄せながら、僕は彼の言動を思い返す。
「いつから準備してくれていたんですか」
「……ああ、そういうこと」
ふふ、と穏やかに笑うテメノスさんは僕の手を取った。剣を握り続けてマメができた手の平に頬を擦りながら、悪戯っぽく口を開いた。
「言ったじゃないですか、君をがっかりさせたくなかったって。どうしたらクリックくんが喜ぶか、私なりに勉強したんですよ」
「えっ」
勉強って、何を。どうやって。
思っていることが全部顔に出ていたのか、テメノスさんは愉快そうに笑い声をあげた。
「安心してください、すべて書物から得たものですよ。実践となると準備も必要でしたが、君がここに来るまでに間に合って良かったです。私だって君と一緒に……その、気持ちよくなりたかったですし」
言いながら恥ずかしくなってきたのか、テメノスさんは布団をかき集めて顔を隠してしまった。
急に肩を覆っていた布が無くなって冷気が襲ってくる。「寒いですよ」と訴えれば、布団からひょこっと顔を出したテメノスさんが抱き着いてきてこう言った。
「では、もう一度温めあいますか?」
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