がちゃがちゃ

メテオライト

「テメノスさん、僕のこと大好きなんじゃないですか」
 終電などとうに逃したクリックは、隣で横になっているテメノスの鎖骨の辺りを吸いながら訊いた。
「ん……遅いですよ、やっと気が付いたんですか」
 テメノスは表情を綻ばせながらクリックの髪を撫でる。何故だか彼は、こうして普段から髪を撫でたがるのだ。
「だって、今までこんなことしてくれなかったから」
「……あのね。私は君より8も年上で、おまけに素直じゃないんです。私の、こんな……汚い部分なんて知られたら、もう今までのようにいかないかもしれないと思うと、君のように真っ直ぐにはなれないんですよ」
「そんなこと気にしていたんですか」
 そんなこと、と言われたことが気に入らなかったのかテメノスは眉を寄せた。
「クリック君にとってはそんなことかもしれませんけど、私にとっては大事なことなんです」
「そうかもしれないですけど!でも、僕には遠慮なんてしないでほしいです。何があってもテメノスさんを嫌いになるなんて、絶対にあり得ないので!」
 とびりきの笑顔で伝えたつもりだった。しかし、テメノスは何故かため息をつくと寝返りを打ち、背中を向けられてしまう。
「あれ、僕なにか間違えましたか……?」
「……君はずっとそのままなのでしょう。でもね」
 布団を頭まで被りながら聞こえてきたのは、本当に小さな声だった。
「私は君の、そういうところが好きなんです」