がちゃがちゃ

聞こえないふりをした

 一日を終え寝室に戻ると、悟空はいびきをかいており既に夢の中だった。なかなか寝付けないベジータはとりあえず目を瞑り瞑想をしてみるが、どうにも落ち着かない。外の空気を吸って軽く体を動かせば眠れるだろうかと思い寝室を出ると、誰かが呼ぶ声が聞こえた気がした。
(……誰も、いない)
 辺りを見渡しても誰もいない。悟空もビルスも眠っている。そしてウイスはここにはいない。他に普段声をかけてくるような人物は誰もいないというのに、体が勝手に声の方に向かおうとしている。それと同時に頭の中に靄がかかっていき、そこでベジータの意識は途切れてしまった。

 気が付くと、ベジータはいつも悟空と修行をしている池の畔に立っていた。何故こんな所にいるのかが分からず辺りを見渡す。真っ暗で静かなビルス星の景色は美しいはずなのに今はどこか恐ろしく、ベジータは建物に戻ろうと踵を返した。
 なのに、またこちらを呼ぶ声がした。いや、声なんていうものではない。テレパシーのような、何かの信号のような、だが確実に傍へ招こうとしている意思を感じてベジータは振り返った。
「誰かいるのか」
 返事はない。風が頬を撫で、湖の水面がゆらゆらと揺れるだけだった。きっと寝ぼけていただけだと頭を振って寝室に向かう。そのはずなのに、また足が逆方向に向かっている。
(何故だ、体が言うことを聞かない……!)
 意識が朦朧とする中、なんとか歩いてその場を離れようとした。しかし、遂には力が入らなくなり地面に膝をついてしまう。歩くことも飛ぶこともできずにいると、突然背後から何かに足を引っ張られた。
 そこでベジータは再び意識を失い、倒れた体はずるずると暗闇の中へと引きずられていった。

 * * * * * * *

 暗闇の中で目を覚ますと、ベジータの目の前には何本もの触手がゆらゆらと揺らいでいた。その奥では大きな花が咲き誇っており、最後に見た時と大きさがまったく違うがそれらがウイスが植え替えていた生き物だということは容易に想像がつく。
「ッなんだ、これは……!」
 池の畔で気を失った時にここに連れて来られたのだろう。しかし、一体何のために。
 ベジータは逃げようと藻掻くが体が動かない。見れば、ぬめった触手が四肢に絡みついており体は宙に浮かされていた。縛られた手首は頭上に上げられ、足は左右に大きく開かされている。うねる触手が羞恥の姿へと這っており、その気持ち悪さに身を捩るが全く抵抗にならない。
「こんな触手……くそっ、なんで力が出ない!」
 今朝と同じように超化することも体を動かすことも出来ない。声は出せるはずだと思い助けを呼ぶ為に口を開けたが、その瞬間に一本の触手がベジータの咥内へと侵入してきた。
「ぐ、ぅ……ッ!」
 息苦しさに涙が出そうになる。触手は咥内へ入っただけには止まらず、先端から蜜のような甘い液体を出しながらそれを咥内へ塗りたくる様にじゅぽっ♡じゅぽっ♡と抽挿してきた。まるで無理やり口淫させられているようで、ベジータは自分の中の何かが崩れていく気配に表情を歪めた。
 しばらくすると咥内を犯す抽挿の速度が上がり、嫌な予感がしたベジータは必死に触手から逃れようとした。しかしその抵抗は空しく、びゅるるっ!と今朝全身にかけられた精液を喉奥に流し込まれてしまい、それを飲まされたショックでついに視界が涙で霞んでいった。
「ん、うぇ……」
 触手が糸を引きながら口から抜けていき、ベジータは咥内に注がれたものを吐き出す。しかし喉奥に叩きつけられたものは飲み込んでしまっており、身体の奥から熱が溢れてくる感覚に焦りを覚えた。この植物の液体には催淫効果がある、というウイスの言葉を思い出す。体にかけられただけであの状態になったというのに、体内に入れるとどうなってしまうのか。恐ろしさに震えていると、体を這っていた触手が次々とベジータの着ているものを破いていった。
「あっ!や、やめろ、やめろッ!」
 叫んでも止まるはずはなく、下着までビリビリと切り裂かれていく。あっという間に一糸まとわぬ姿にされ、気が付けば全身の何もかもが丸見えの状態になっていた。更に絡まっている触手に先程よりも大きく足を開かされると同時に腰の位置を上げられ、尻を突き出す様な体勢にさせられる。その一連の流れに、まさか、とベジータの顔が青ざめていく。
「そこだけ、は……やめ……!」
 先端からダラダラと涎を垂らした触手がゆっくりとベジータの後孔に向かって伸びている。何故かヒクヒクと疼いてしまているそこに、ぬちゅ、と先端が吸い付いていくが、本来そこはナニかを受け入れるような場所ではない。恐怖に強張る体には挿入できなかったのか、触手は窄みを撫でる様に這うだけで侵入してこなかった。そして、なかなか入らないことを理解したのか後孔を這っていた触手が引っ込んでいく。それにベジータが安堵していると、突然目の前に現れた触手がぶぴゅっ!と下品な音を立てて裸の身体にねっとりとした精子を放ってきた。その気持ち悪さに気を取られていると二本の触手が精子を塗り付ける様に胸を辿ってきて、その先端が豊満な胸を揉むように弄ってくる。他の触手も胸元にやって来るや否や先端がぱっくりと割れ、何をするのかと思えばぷっくりと膨らんでいる両方の乳首に吸い付いた。触手の先端からは更に粘膜を纏っている舌のような突起が生えており、乳輪ごと舐めるように吸いながらその突起で敏感になっている勃起乳首をコリコリ♡と扱かれはじめる。
「や、やめッろぉ♡ひぅ、やあッあん♡そんなところ吸うな、ぁッ♡」
 本来ならばベジータが胸で感じるはずはない。だが、先程飲まされた精液のせいだろう。ひどく熱を含んだ身体は全身が性感帯のようになり、どこを触られても反応して嬌声を上げてしまう。そしてベジータをメスだと認識している触手はしきりに胸を弄っては敏感になっている生乳首を刺激してきた。ベジータは女のような声をあげる自分が信じられず、ぎゅっと目を瞑る。それでも胸を這う触手は止まらず、受け入れる準備をさせようとしつこく扱いてきた。
「ッあ、あんっ♡だめっだめぇ♡んぁッ、イっちゃう♡もうイクっいくぅ……――~~~ッッ!!♡♡♡」
 背を仰け反らせ。ぴゅっ♡ぴゅるるっ♡とアクメしたベジータのペニスがぷるんっ♡と揺れる。触手はベジータの出した精子を潮と勘違いしたのか、それを舐めとる様にぐったりとしている身体のペニスにまで吸いついてきた。そしてイったばかりで敏感になっているトロトロの先端へ、舐めるように絡みついてくる。
「あアぁ……っ♡」
 触手にイかされ意識が朦朧としていく。受精しない男の体を触手たちが愛撫するように這い、体内へ種を植え付けようとしている。
 
(だめだ、体が動かない。このまま犯されながら死ぬのだろうか……いや、まさか。だが、どうやってここから――)
 瞼を閉じかけた、その時。確かに強い気配とあたたかい気を感じて、ベジータの意識は覚醒した。
「――ベジータ!」
 顔を上げると、視線の先には必死の形相の悟空がいた。超化すると少し離れた場所からこちらの状況を窺い、まっすぐこちらに向かって飛んできた。しかし、あと一歩で手が届きそうな所まで近づいた悟空に触手が絡みついて自由を奪っていく。悟空は触手とベジータを交互に見やりながら藻掻いており、なんとかこちらを助け出そうとしているのが分かる。
「起きたらおめえがいなくて、こっちに気を感じて……。くっ、一体どうなってんだ!」
 無理やり腕から触手を引きはがそうと抵抗しているが、真夜中で触手が活性化しているせいか超化した状態であるにも関わらず手間取っている。
 その間にも触手たちはベジータの体を這う。乳首を吸われながら再び後孔へ伸びて行き、そこを撫でるようにしながら液体を塗りたくられていく。悟空の位置からはベジータの窄みは丸見えで、更に挿入しようとしている触手がヒクヒクと疼いている箇所を左右に開いた。
 痴態を見られていることに耐えられないベジータが悟空を見ると視線がぶつかった。こんな姿、一番見られたくないのに。
「み、見るな、見るなァ!カカロットにだけは、こんなッこんな姿……あ、ァあんッ♡」
 しかし、にゅるり、と一本の触手がペニスを咥えたまま扱き始め、ベジータは呆気なく悟空の目の前で絶頂してしまう。それを見ていた悟空はごくりと生唾を飲み、視線を外さぬまま一部始終を目に焼き付けていた。
「うぅ、オレは……こんな、はずじゃ……」
 触手は涙ぐんでいるベジータの出したものをごくごくと飲み込んでいくと、悟空との距離を縮める様に二人へ絡みついていった。近づいてきた悟空はいつの間にか熱に浮かされた表情になっており、どうやら触手が絡みついたせいで同じように興奮状態になってしまっているようだ。
 身動きの取れない悟空の服までもが触手によって剥がされていき、ベジータは目にしたものに驚いて顔を背ける。曝け出された勃起している好敵手のソレはだらだらと涎を垂らしており、こちらへと向ける視線もいつもと違うことが分かる。
 ――カカロットが、オレに興奮している。例えこの触手の影響を受けたせいだとしても、ベジータはそれが信じられなく混乱してしまう。こんな状況さっさと抜け出さなくてはならないのに、欲しかったものが目の前にあると思うと力が抜けていった。
「ベジータ悪い、オラ……、わっ!!」
 触手は更に強く絡みつき、悟空とベジータの身体を密着させていく。すると丁度二人が重なる様な体制となり、悟空の陰茎が疼いているベジータの後孔を撫でた。ぐちゅりと卑猥な音が聞こえ、この状況を受け入れられないベジータは首を振った。
「ん、ひぅ……ッ♡か、カカロット……だ、だめだ♡はやく、はやく退けろ……ッ!♡」
 嫌だと否定をしつつも、身体は先端を飲み込もうとしている。触手が悟空の背を押し、腰が深く密着しようとしてきた。二人の息が上がっていき、超化の解けた悟空はベジータの耳元に顔を寄せると聞こえるかどうか分からない声で囁いた。
「ベジータ……オラもう、駄目かもしんねぇ」
 
 * * * * * * *
 
「あっあぁ♡や、あんっだめ♡だめだカカロットぉ♡奥にちんぽ入ってる♡」
 闇の中、触手が絡みついた二つの影が重なり合っている。辺りにぱちゅっ♡ぱちゅんっ♡と音を響かせながら宙に浮かされている二人のサイヤ人は交尾をはじめ、それを更に施すように触手がベジータの身体を這っていた。
「ああもう、ベジータにちんぽ食われちまいそうだ……!」
「ひ、ぁあ♡ぁんッああァ♡イくっいく♡イっちゃうぅ……~~~ッッ!♡♡」
 触手の力を借りながら悟空にずぷんっ!と深く貫かれ、その刺激でトコロテンしたベジータは奥へと種付けされていた。すると触手の力が弱まっていき、二人の体が解放されていく。屹立が媚穴から抜けると同時に注がれたものがドロドロと溢れだし、その感覚にベジータはぴくんっ♡と震えた。二人を地面に降ろした触手は闇の奥へと引っ込んでいくと気配を消してしまい、残された悟空とベジータは息を乱したまま辺りを見渡した。
「な、なんだったんだ……?」
 悟空がぐったりとしているベジータの上半身を起こしてやると、自分よりも小さな好敵手の身体は小さく震えていた。無理もないだろうと悟空は黙ったまま抱きしめていると、腕の中でもぞもぞと動き始めたので背中をさする。
「無理すんな、まだ動けねぇだろ。それより、悪いかったよ……不可抗力だったけどさ。おめえに、あ、あんなことして……」
「いい……仕方がなかった。これは推測だが、あの触手は貴様がオレに……その、出したから……それで終わったと勘違いして、引っ込んだんだろう」
 ベジータは気まずそうに視線を泳がせる悟空を見上げる。ほんの一瞬とは言え、欲しかったものが手に入った感覚を忘れられない。
 それに、催淫効果はまだ失われていない。熱を含んだ吐息に惑わされたのだ。自分だけではない、悟空だって――だから、もっと、もっと欲しい。もっと――――。

「……、カカロット」
「ん?」
 名前を呼ばれ返事をすると同時に、悟空の視界はぐるりと反転され視界には星空が広がった。そして下半身に重みを感じ、そこにはベジータが乗り上げてきていた。
「オレは貴様には絶対に見られたくない姿を見られた。こんなこと有り得ないはずだったのに。それのせいで、まだ収まらないんだ……だ、だから」
 同じく催淫効果の切れていない完勃ちしている悟空の怒張を後孔で咥えるようにベジータが腰を降ろしていく。ずぷ……と収まっていく感覚に身震いがして、それだけで達してしまいそうだった。
 ベジータの行動に呆気に取られている悟空は何も言わず、じっと同胞の様子をうかがっている。それに口元が緩み、奥まで咥えた生ちんぽを肉壁で締め付けた。
「あ、ベジータ……」
 物欲しそうな眼をしている、とすぐに分かった。同じなのだと感じた瞬間に胸の奥が熱くなり、ベジータは悟空の腹に手をつくとゆるゆると腰を振り始めた。
「っあ♡あぁ……カカロットのちんぽ、おれの奥に入ってる、ぅ……あんっ♡」
 すると悟空も下から突いてきて、ベジータの身体がびくびくと震える。嬌声が止まらず、徐々に激しく腰を振り始めていた。
「ひあぁっ♡ちんぽ気持ちぃ♡ちんぽでぇ、奥ずぽずぽってされてる♡」
「ああ、ずーっと締め付けててかわいいな……」
 悟空は善がる身体を下から貫きながら腰を掴み、更に深く抽挿を繰り返す。するとベジータは仰け反り、ピストンされる度にぴゅっ♡ぴゅっ♡と連続でアクメしていた。
「や、あァ♡今イってる♡イってるからぁ♡」
「うん、びくびくしてる」
「あぅ、だめ♡またいくっちんぽでイく♡かかろっとのちんぽでイっちゃうぅ……――ッッ♡♡♡」
 動きが止まることはなく、何度も何度も貫かれたベジータはぴゅるるっ♡と熱を吐くと悟空の上にぐったりと倒れ込んだ。悟空は繋がったままの身体を抱きしめると体勢を反転させると今度は上になり、同胞に覆いかぶさった。
「ベジータぁ、オラおかしくなっちまったかも」

 * * * * * * *

 きっと、これはきっかけに過ぎない。本来ならばあってはならないことだ。そう言い聞かせないと頭がおかしくなりそうだ。そんなことを考えながらベジータは、共に寝室へ戻った悟空に腰を打ち付けられていた。
 シャワーを浴びる余裕も無く、服が無いからという理由で寝室で事に及んでいる。戻って来るや否や背後から腰を掴まれ慣らしもせずに挿入されて、それでもベジータは悟空を恨みなどしなかった。悟空に求められている事実だけが、ベジータの意識を保とうとしていた。
「ベジータ、気持ちいか……?」
 どちゅっ♡と激しく腰を打ち付けながら背後から悟空が訊いてくる。ベッドの上で四つん這いになっているベジータはそれに返事をすることができるわけもなく、ただ喘ぎながら乱れたシーツを握りしめていた。
「ぁあ♡あ、あぅ♡ひ、ァあっああッん♡」
「おめえのナカ、あったかくて、やわっこくて……駄目だ、このままだと溶けちまう」
 はあ、と悟空の熱い吐息が聞こえてきてベジータは媚肉で締め付けてしまう。もっと奥へと強請る様に腰を揺らしてやれば、背に感じる視線が鋭くなった気がした。
「そんな煽られたら、もう……ッ!」
「いい、いいからァ♡イけ、おれのナカでイっちまえ♡」
 強請る様に締め付けると腹の奥が熱くなっていった。同時にベジータも達し、中に注がれていく感覚に震えていると余韻に浸る間もなく再び腰を揺らされはじめ、肩越しに悟空へと振り返る。
「あ♡またちんぽ来たぁ……♡」
「はぁ、悪い……でも全然おさまんねぇ。なあベジータぁ、オラはどうしたらいい……?」
 子犬のような目で見つめながら犯してくる男にベジータは笑みがこぼれる。この瞬間だけでも自分に溺れているのだと思うと胸が高鳴り、もっと与えてやりたい、欲張ってやりたいと強欲な感情が顔を出した。
 しばらく腰を揺さぶられた後、どぴゅっ!と何度目かの欲を注がれてやっとソレが抜けていく。仰向けになったベジータは戸惑いの表業を浮かべている悟空へと向かって、更なる熱を求めて腕を伸ばした。
「カカロット、もっとぉ……♡」