がちゃがちゃ

真暗な朝が来る

 何度も何度も深く腰を降ろしながら、ベジータは悟空の上で喘ぎ続けている。手をついて腰を揺らし肉壁をごりごりと屹立で擦られながら、乱れていることなど忘れて悟空から与えられているものに夢中になっていた。
「あッあぁ、あ♡そこっ深ぃ、あぅ、んッああ♡」
 思ったよりもすんなりと挿入を受け入れていることに「やっぱり」と悟空は内心腹を立てていた。ベジータにとっては悟空との幾度目かのセックスなのかもしれない。本当は、これがはじめてのはずなのに。誰がはじめにここを暴いたのかと訊いたって意味が無い。誰と勘違いしているのかも知らないままで良い。
「ベジータ、オラのちんぽ気持ちいいか……?」
 欲にまみれた顔を見上げながら訊くと、ベジータは健気にも嬌声の中で必死に返事をしようとしている。
「きもち、いぃ♡カカロットのちんぽ奥まできてて、ぇ、あッまたイく♡ひぅ、あっあん♡もっと奥突いて、ぇ♡」
「うん、もっといっぱい気持ちよくなろうな」
 下から突いてやると一際高い声が上がって、ベジータはぴゅるるっ♡と何度目かの射精を行うと動きを止めてしまった。しかしこちらはまだ達していない。繋がったまま体を起こし今度はベジータを下にして腰を掴む。そのまま激しくピストンするとイったばかりのベジータは恍惚とした表情を浮かべていた。
「すげぇ締めつけてくる……ここ好きなんだな?」
「んッそこ好き、ぃ♡カカロットのちんぽで、そこごりごりってされるのぉ、んン、ぁッ好き♡あアっああッん♡」
 どちゅっ♡どちゅん♡と激しく抽挿を繰り返す音が響いて、これが夢か現実か分からなくなってきた。限界が近くなってきた悟空は何も言わないままナカで達すると、たっぷりと種を注がれた男は熱い息を吐いて手を伸ばしてきた。
「あ、まだ……まだ足りない♡」
 ベジータが見ているのが本当は誰なのかが分からない。分からないが、悟空は必死に求めてくる彼に抗えなかった。
 キスを落としながら豊満な胸へと手を伸ばし、色づいた乳首を指先でコリコリ♡と引っ掻いてやるとナカに収まったままの萎えたものがきゅん♡と締め付けられた。
「おっぱい気持ちいいか?」
「わかんな、ぃ……ッ♡」
 分からないと言いつつもはっきりと反応を示している。片方は手で弄ったままもう片方を口に含んで舌先で転がすと「ひぁ♡」と善がる声が聞こえてきた。それに気をよくした悟空は先ほどよりも強く吸い、摘まみ、指の腹で扱いた。ぷっくりといやらしく膨らんだ突起は少し触れるだけで反応がある程で、すっかり性感帯となってしまっている。いつからこうだったかとか、誰に触れられたのかとか、訊きたいことはたくさんあるが口にはしなかった。今彼を手にしているのは確実に自分ただ一人で、その事実だけで良かった。
 ちゅう、と強く吸ってやればそれだけでアクメして、ベジータは弱々しく震えてしまっている。もっと、もっと知らない姿を見たい。
 一度繋がっているものを抜くとベジータは物欲しげにこちらを見上げてきた。そのまま押し倒していた体をひっくり返し、真っ赤な耳元に顔を近づける。
「腰、上げてくれねぇか」
 言えば言葉の通りにする姿が嘘の様で、悟空は昂る何かを必死に押さえつけた。

 * * * * * *

「ひぁ、アあッあン♡イく、またイっちゃう♡やぁ、あっあん♡ちんぽでイくっあッああっあ、あん♡」
 高く上げられた腰を掴んで後ろから突く。結合部が丸見えで、媚穴が悟空を咥えて離さない。そのせいで先程よりも激しくしてしまう。その度にベジータは連続でメスイキを繰り返しており、がくがくと震えながら「もっと」と強請ってきた。
 歯止めがきかない行為に溺れてしまっている。彼を騙しているのだ。だけど、だけど――――。
「あ、あぅ……かかろっとぉ……ひ、あぁッんン♡♡」
 ずぷんっ!と奥を突いて欲を注げば再びアクメしたベジータはこちらを肩越しに振り返った。夢を見ているような瞳に映る姿に、それが誰かなのかを本当は知らないのだと言わなければならない。
 
「カカロット……う、んん……か、かろっと?」
 ゆっくりと萎えたものを抜くと、仰向けになったベジータが虚ろな目でこちらを見上げてきた。そして、じっと顔を見つめられたかと思うと突然はっと目覚めたように辺りを見渡し始める。
「な、なんだこれは……どうしてオレが貴様と、な、なんで」
 混乱しているようで、この部屋とお互いの様子から今まで行っていたことを理解したのか顔を赤くしたり青くしたりを繰り返しながら両手で顔を覆った。
 そこで悟空はベジータの記憶が戻ったのだと気が付いた。だからこの状況を見て驚いているのだ。まさかこんなタイミングで思い出すとは思わず、悟空はなんと声をかけるべきなのか分からないまま無意識のうちに手を伸ばした。するとその手は払われ、鋭く睨まれてしまう。
「オレに触るな!貴様と、こ、こんな……有り得ない!有り得るはずがない!」
 確かにベジータからすれば目が覚めたら突然恋仲でもなんでもない男に抱かれていたという状況なのかもしれない。だが、先程までとの態度の違いに悟空は不満を抱いてしまった。
「……なんだよ、さっきまでオラの下で気持ちいいって言ってたくせに」
「なッ……!」
 意地悪なことを言ってしまった。だが、もう遅い。
「いいよ。ほら、もっと欲しいって言ってただろ?」
 困惑している男を無理やり押さえつけて、出したばかりだというのに硬度を取り戻した怒張と物欲しげにヒクヒクとしている媚穴へとキスさせる。あっという間に吸い付く様に咥え込まれているというのに、ベジータは首を横に振っていた。
「や、やめろ……やだ、ぁあっアああァ♡」
 ずぷずぷと飲み込まれていき、あっという間にすべて収まってしまった。そのままメスシコリを擦る様にピストンすれば先程と同じように善がり始め、ほらやっぱり、と悟空は心の中で呟く。
「いやだ、あァ♡こ、こんなの……まちがって、ぁン♡あアっああ、あっあん♡」
「嘘ばっかり、さっきだって今だって、ずーっとオラのちんぽ欲しい欲しいって言って離さねえくせに」
「それ、は……あアっあ、あぅ、ああッ♡やめ、あぅ、イくッいく♡あん、ああ、イくからァ、あっァ、ッッ~~~♡♡」
「うん、オラもイくから……なあベジータ、おら、ずっと……ッ」
 悟空が言い終える前にベジータは何度目かの絶頂を迎え、ぐったりとしたまま意識を手放してしまった。直後に達した悟空は言えなかった言葉の続きを飲み込む。きっと、これを伝える日は来ないのだろうと胸の奥へとしまい込んだ。