物語の一部に過ぎないから
カミュが屋敷から出ると、そこは街外れの路地裏だった。万全な状態ではなかったからか、予定していた着地点が狂ってしまったようだ。
まだ力が出ずしゃがみ込んでしまう。しかし早くイレブンと合流しなければと立ち上がろうとした直後、騒がしい足音がこちらに向かって近づいてきた。
「カミュ!」
顔を上げるとそこには宵闇を背景にイレブンが立っており、カミュの乱れた服装を見て驚いた様子で屈んできた。
「ど、どうしたのその格好。なにか酷いことされた?」
イレブンの表情が青くなり、カミュは乱れた服を整えながら落ち着けようと目の前のサラサラとした髪を撫でた。
「大丈夫だって。それより、よくここが分かったな。屋敷からはけっこう離れてるのに」
「ああ、カミュの気配が遠のいていくのが分かって……その気配を追いかけたら見つけられたんだよ。やけに遠い所までいくものだから心配したんだ」
「そっか。それも勇者の奇跡だったりして」
冗談を交えながら二人で立ち上がると、くらりと視界が歪んだ。あの部屋からは離れたが、まだ香煙の効果が残っているようだ。小さく震えている足元が覚束ないカミュを見て、イレブンは心配そうに顔を覗き込んできた。良く知る愛おしいその表情を見て、ずっと保ってきた何かがばらばらと崩れ落ちていく。
「本当に大丈夫?とりあえず、一旦宿に戻って……ッ」
何も言わないままカミュは手を伸ばしてイレブンを抱き寄せると、そのまま深く口付けた。
「……はァ、かみゅ……?」
「いいから、そのまま」
路地裏のおかげで、人の影などは無い。多少は大きな音をたてても表通りに酒場が並んでいるおかげで、その喧騒がかき消してくれそうだ。
「んっ……」
どちらのものかも分からない吐息が溢れて混ざり合う。路地の壁にもたれ掛かりながらキスを交わしていると、イレブンから遠慮がちに腰を抱き寄せてきた。それを愛おしいと思うのは、目の前の勇者様に心底惚れているからだ。
だから、視界に入ってしまった勇者様の主張を膝でぐりぐりと刺激しながら、カミュは彼の耳元へ向かって囁いた。
「悪い、イレブン。オレ、もう我慢できそうにない」
* * * * * *
明かりなど一切路地裏の隅で、二つの影が重なっている。カミュは壁に手をついて腰を上げ、イレブンはそれに覆うように身体を密着させた。
イレブンはカミュのドレスを捲り、その下に何も履いていないことに驚いて声にならない声をあげていた。
「ああ、まあ色々あったんだよ……。そんなことより、はやく……こっち♡」
カミュは片手を後孔に這わせると指でそこを拡げ、イレブンに見せつける。そこは物欲しそうにヒクヒクと疼いており、勇者を今か今かと待ちわびていた。すぐに挿入るということを教えてやるために自らの指をいれて、解す様を見せてやる。
「あ、ん……ッ♡ほら、はやく♡」
指を抜いて再びイレブンの前で拡げてみせると、実際に聞こえたわけではないが、イレブンがごくりと息を呑んでいるのが分かった気がする。まったく可愛い奴め、とカミュは笑った。
イレブンはベルトを外して服から屹立を取り出すと、ゆっくりとカミュへと宛がった。先端が触れるだけで腰が揺れて、カミュは熱い息を漏らした。媚穴にヘキスをするように先端が吸い付いていき、待ちわびたものが訪れようとしている。
「イレブン、はやく、ぅ、あッああ――~~~ッッ♡♡」
ずぷんっ♡と勢いよく挿入されて、カミュはそれだけで達してしまった。ぴゅるっ♡と白濁を吐き出している最中も抽挿は続き、肉がぶつかる音が響く。
「あ、待って、ぇ♡いきなり強い、あっあァ♡」
「だって僕だって我慢できないよ、ごめんね……ッ」
イレブンは息を乱しながら腰を押し付けており、その度に肉壁を擦る怒張を強く締め付けてしまう。強請るようにカミュの腰が揺れてしまい、そのせいでイレブンはより抑えが効かなくなっていった。
カミュは壁に手をつきイレブンに突かれながら、必死に快感を享受している。
「やあっあ、あんン♡もっと奥、きて、いいからッ♡」
どちゅ♡どちゅ♡と強い音が響いて、ここが外だということを忘れてしまいそうになる。だけどもう、どうにも止まらない。
浅いところを擦る様に動いていたのが最奥を犯すように深く貫かれるようになり、カミュは何度もアクメしていた。
「あ、あぅ……♡」
「かみゅ、ずっとイってる……かわいい……」
「だってぇ、ひァ♡アあ、あ♡いれぶんのちんぽ気持ちいから、ァ♡」
イレブンはピストンを続けながらカミュの露わになったままの胸元に手を這わせると、ピンク色のぷくりと膨らんだ乳輪を撫でる。その度にキュン♡と甘く締め付けられるので勃起乳首を引っ掻いてやると、種を絞るようにキツく締め付けられた。
「おっぱい気持ちいいよね、いっぱい触ってあげるから」
「んッんぅ♡あ、ンん♡ちんぽ気持ちよくてまたイく、イっちゃう……ッッ♡♡♡」
ぷしゅっ♡と潮を拭いてメスイキしているカミュの乳首を摘まんでやるとビクビク♡と全身を震わせており、イレブンはそのまま奥に種をたっぷりと注いだ。
ずぷ……と萎えたものを抜いたイレブンに向かって、振り返ったカミュは「まだ足りない」と目で訴えていた。
* * * * * *
今度は近くに置いてあった大きな木箱にイレブンが腰かけ、それにカミュが跨るようにして腰を振っている。
「あっ♡あ、あんッあアア゙♡奥っおくまでェ、ちんぽ来てる……ッ♡」
対面座位の体勢で深く繋がり、イレブンも下から突きあげながら目の前のカミュの胸に舌を這わせている。舌先で敏感な突起を愛撫され続け、いつもよりも猥らに膨らんでいる気がした。乳首を可愛がられる度に甘イキしてしまい、それが余計に勇者を煽るようになってしまう。
「はァ、かみゅのナカうねってて気持ちいいよ」
「おれもずっと気持ちよくってェ、あんっあ♡んッあたまヘンになる、ぅ♡んンっさっきからきもちいの止まんな、ぃい♡もっといっぱいずぽずぽっとして……♡」
怒張がイイところを擦り、ぴゅっ♡と欲を吐き出すたびに愛おしさが募っていく。下から遠慮なく突かれるとともに種付けされて嬌声を上げると、その度に「かわいい」と囁かれた。
今度は腰を掴まれて深く腰を落とされ、ぴゅっ♡ぷしゅっ♡と射精してしまう。イった余韻に浸る間もなく媚肉の奥を貫かれ、止まらなくなっていく。
「ひっ♡あ、ああッあん♡またイっちゃう、いれぶんのちんぽで、イっちゃう、ぅ♡」
イレブンも何度目かの種付けを行うとカミュは目の前のうっとりとした表情の頬に手を添えて触れるだけのキスをすると、自ら深く腰を落として幾度目かの絶頂を迎えた。
「んン……ッッ♡おれは、ぁ、ずっとお前だけのもの、だからァ……♡」