永遠に泣き続けなさい
あの日から、ベジータは悟空と顔を合わせる度に体を重ねるようになった。悟空から求めることもあればベジータから誘う時もあり、きっかけはどうであれ二人は逢瀬を繰り返している。
今朝も自宅の寝室で一緒に寝てしまったことと起きた後も盛ってしまったことを悔やみながら、朝日が昇りきる前に追い返した。雨が降っているが、どうせ瞬間移動で帰るのだから問題ないだろう。
そして次の日も、初めての時と同じように簡素なカプセルハウスで朝から今まで一日中セックスをしていた。既に陽は傾いており、そろそろ家に戻らねばならない時間だ。
結局、ベジータは悟空と心まで通っているのかどうかは分かってはいない。好きだと言う言葉に意味は無いと思っている。一時の気の迷いだと言われればそれも仕方がないと思うし、はじめた自分もそうだと思っていたのだから何も咎めるつもりもないし、むしろ咎められるべきは己の方だと分かっている。
だけど、何も言わぬまま今日までこの関係が続いている。それが意味するところを知りたいような、知りたくないような、複雑な気持ちになることもある。
それに勝手ではあるが、結局は自分ではなく家族を大切にしていてほしい気持ちが勝っている。やっていることとは逆ではないかと矛盾を指摘されるだろうが、これもまた事実だった。ベジータの知る“孫悟空”という男はそういう存在で、思うがままに生きていてほしいのだ。自由という言葉すら足枷になる様な、風のような男であり続けてもらうには、こうする他なかった。
ベッドの上に横たわり、胸を舐めてくる悟空を見ながらベジータはぼんやりと考える。あと一時間もしないうちに悟空を家に帰し、自分も帰宅しなければならない。イったばかりの体を舐めてくる男を引きはがしてベジータはシャワールームに向かおうとベッドを降りた。
しかし、もう少しでシャワールームに辿り着くというところで背後から悟空に抱き寄せられた。
「おい、何やってる。離せ」
「やだ。なあ、もう一回だけ……」
悟空の言う『もう一回』や『ちょっとだけ』ほど信用ならないことはない。この男はその場で適当なことを言うのだと知っている。
だけどベジータは、睦言となるとこの大型犬の様に甘えてくる男にすっかり弱くなってしまった。戦闘中は普段通りなのに、どうして……だなんて、今更考える意味もない。
後ろから抱かれたまま、悟空が耳元に顔を寄せてくる。
「なあ、……壁に手、ついて」
ベジータはまるで操られているかのように、言われるがまま壁に両手をつける。すると腰を掴まれ、先程吐き出されたばかりの精液がたっぷり入ったままの場所へ、くちゅ……と音を立てながらペニスを宛がわれ、その瞬間に窄まりからは収まっていたものが溢れ出してきて太ももを伝った。そして先端を簡単に咥え込んだかと思うと、そのまま奥まで貫かれ抽挿されてしまう。無意識のうちに善がって締め付けており、背後から熱い息を感じた。
「ほら、オラのちんぽ、全部うまそーに咥えてるぞ」
「うるさ、いッあぅ、アぁっ!は、ぅッあ、あンっあぁ、あ!」
上げた腰を何度も激しく突かれ、その度にベジータはぴゅっぴゅっと潮を吹く。ヒクヒクと疼く淫穴が悟空のちんぽを咥え込んだまま無意識に媚肉できゅんっと締め付け、ナカに収まっているものの形がはっきりと分かってしまう。
そして自分の中心からは何も出なくなり、びくびくと震えては甘イキを繰り返していた。もうやめてくれと訴えても止まらず、がくがく震える足から力が抜けそうになる。
「ぁっあん、ああァッん、んぅ、ぁ、ッ!カカロット、かかろっ、とぉ、あ、あぅ、ひ、ぁ!」
「ベジータ、気持ちいぃな……おめえが教えてくれたこと、ぜんぶ、オラ守れてっかなぁ」
キスをする時に目を閉じることも、どこを触れば気持ちいいのか理解することも、ぜんぶぜんぶ、ベジータが悟空に教えた。未だに律儀にそれを守っている悟空に愛おしさが募っている。それを馬鹿だと笑ってやりたいのに出来ないのは、すっかりベジータ自身も溺れてしまっているからだ。
「あぁ、も、イきそうだ、……なあベジータ、好きだよ、これからもいろんなこと、おらに教えてくれるよな?」
「ッそ、んな、こと、ぉ、ッはァ、あ、ああッあ、ぅッあ、ンん!」
びゅるる、と種付けさせた感覚があり、ベジータは体を仰け反らせメスイキする。何も出ず力の抜けた体がぺたりと床に崩れ落ち、悟空は慌ててそれを抱えるとベッドに運んだ。
「ごめんな、無理させちまった。大丈夫か?」
何を今更、と思いながら八の字に垂れる情けない眉を見て笑ってしまった。なんとか起こした体は重いが、動けないほどではない。
目の前で狼狽えている悟空にキスをすれば、大人しく目を閉じていたので「目を開けろ」と伝えた。
「今は目を開けろ、良いな」
「う、うん……?」
薄い唇を食むと、男は目を細めていた。舌をねじ込んできたのでそれを自分のものと絡めていると、悟空の手がベジータの胸を這う。
悟空はベジータの胸を触るのが好きだった。だからだろうか、ベジータ自身もそこを触れられることにいつの間にか快感を覚えるようになり、「女ではないのに」となんとも言えない感情になることがある。
ふに、とぷっくり膨れた乳首の先端を摘ままれる。もう片方の手は艶めかしく色づいた乳輪を擦って来て、ベジータは再び身体中の熱が集まってきているのを感じた。やはり「もう一回」など嘘ではないかと笑ってしまう。
両の突起をコリコリと擦る様に引っかかれ、腰が揺れる。そしてピンッと尖る勃起乳首に吸い付かれ、溜まらず声を上げた。
「う、そこばっかり、嫌だ、ぁ……ッ」
「嘘だぁ、おっぱい吸われるの好きだって、前に言ってたじゃねえか」
そんな記憶はないので、きっと情事中のうわ言か何かだろう。そんなことを口走っていたのかと自分が信じられなくなるが、もうどうでもいい。本当は嫌ではないし、これ以上余計なことを言われなければなんだっていいと割り切る。
「オラにおっぱい吸われるのも、ちんぽでイかされるのも好きだって言ってたぞ」
正気かと疑いたくなるが、悟空の目は澄んでいる。きっと本当に口走っていたのだろうが、まったく記憶にない。一体どれだけ同胞とのセックスに溺れていたのだろうと、また悩みの種が増えてしまった。
これ以上余計なことを話されたくなくて、ベジータは悟空の胸板を押してベッドに寝かせるとその上に乗り上げた。まるで初めて体を重ねた時と同じような光景に、過去に戻ったような気分になる。
再び勃起している悟空の怒張を形のいい引き締まった双丘で挟み、そのまま後孔で飲み込む。溢れる精液がじゅぷじゅぷと音を立てながら溢れ出すがそれには構わず、ゆるゆると腰を振った。
「調子に乗るなよ、カカロット……オレが何を言ったとしても、……それ、は、この場だけの話だ」
肉壁を押し広げるように質量が増していく陰茎を咥え、ナカで扱いてやる。されるがままの悟空を見下ろすのは気分がいい。そのまま下で大人しくしていればいいのに、そうはいかないのが悟空だという事を忘れていた。
下からとんっとんっと突かれ、善がるベジータは「ひぁッ」と甘い声を上げてしまう。
「あ、きさ、まぁッ勝手に動く、なっあ、あんっ!あぁ、あっァんっあぁッッ!!」
「だってベジータがいい顔してたから、我慢できなくなって。……オラのちんぽ、気持ちいいか?」
「くそっ、だか、らッ調子に乗るな、ぁッあん、あぅッあっあァ!」
もうやめてほしいはずなのに『もっと』と強請る様に腰が触れる。猥らな姿をすべて見られ、これ以上何があるのかも分からない。悟空のちんぽに媚びるように窄みがヒクヒクと疼き、もっと奥へと咥えようとする。それが分かったのか、悟空は勢いよくずぷんっと腰を打ち付けてきた。激しく突かれた身体は仰け反りトコロテンしてしまい、ぴゅるっと何度目か分からない欲を吐き出す。同時にナカで射精をされる感覚があり、孕むこともできないのにと視界がぼんやりと歪んだ。
悟空は跨ったまま動かないベジータの頬を撫でると「もう帰らなきゃ」と言った。
随分と、自分勝手ではないだろうか。自分から「もう一回」と言ったくせに。それでも止まらなかったくせに。
ベジータは悟空の萎えたペニスを媚肉で再び締め付けると、無我夢中で腰を振った。オレは最初は逃げようとした、だけどお前が離さなかったのだと分からせてやらねばならない。
「んッんぁ、あ……」
「ベジータ、ぁ、どうしたんだよ。オラ本当に、もう帰らないと……ッ」
「そう言う割には、またデカくしてるじゃねぇ、か」
肉壁を押し広げる張り詰めた怒張の感覚にベジータは熱い息を漏らす。再び甘く締め付けてやれば悟空の表情も引き締まっていき、強く腰を掴まれた。どちゅんっと大きく突かれ、より深く挿入を強請るように腰を上下させる。
「ッそんな、に、オラのちんぽ欲しかったんか?」
「あっァあッ、あん!ちんぽ、あぅ、ちんぽ、いっぱい来て、ぇ、きもちいぃ、あッあ!あぅっかかろっとのちんぽ、ぅう、きもちぃ、ッあ、あん!」
「流石にもう、出ないと思ったのに。ベジータ見てたら、ッもう……駄目になりそうだ」
ずぷずぷと押し込まれ、奥までたどり着いた屹立に激しく突かれベジータの体は大きく跳ねて仰け反った。何度も突きあげられながら連続でメスイキを繰り返し、同胞に跨ったままあんあんと喘いでいる。
脳が溶けそうになりながら、過去も未来も考えるのをやめた。今はただ目の前の男を手に入れたい。せめて体だけでもと思う様になってしまったのは、間違いではなかったと確信が欲しい。
「なあ、ベジータ、オラやっぱり好きだよ。おめえに、こんな気持ちになるのは変だって分かってるんだ、でも、でも、ッ!」
それ以上の言葉は必要ないと言い聞かせるようにナカで悟空自身を締め付け黙らせてやる。
するとごぷ……と音を立てて淫穴から精液が溢れ出し、また中出しされたのだと分かる。ベジータは萎えたものを抜く様に腰を引き、悟空の上に覆いかぶさると目一杯にキスをした。
「……言葉にすると、何が本当か分からなくなるぞ。貴様はただ、思ったことを思ったようにやればいい」
「ベジータは、本当にそれでいいと思うか……?」
背中に手をまわされ、苦しい程に抱きしめられる。寂しそうな声は聞こえない振りをすればいい。
壁時計の秒針の歩みだけが聞こえてきて、微睡みに包まれたベジータは流されるがままに目を閉じた。