永遠に泣き続けなさい
早朝に外から激しい雨音がして、ベジータは目を覚ました。朝日の差し込まない薄暗い寝室は薄暗く、微睡から抜け出すことが難しくなる。
窓を叩く雨に急かされた意識は覚醒し、体を起こそうとして……やめた。というよりも、出来なかった。首だけ動かして隣を見ると、よく知った男が穏やかな寝息を立てて寝ていたからだ。いつもはうるさい程のいびきをかいているせいで、静かに寝ているだけで不安になってしまう。
「おい、カカロット。いい加減に起きて帰りやがれ」
頬を叩いてやると閉じられていた両の目がぼんやりと開き、ベジータの姿を捉えるなり細められる。
「おはよー、ベジータぁ」
悟空は大きな欠伸をしながら伸びをして、そのままベジータに覆い被さってきた。
「おい、やめろ。皆が起きる前に帰ったほうがいい」
「んんー……」
ベジータは上からのしかかって来る体を押し返そうと厚い胸板を押すが無意味だった。あまり騒いで家にいる他の人物に駆けつけられたりすれば一大事なため、甘えるように体を寄せてくる悟空を無理やり吹き飛ばすこともできない。
間近に迫る悟空の顔を見たベジータは昨夜のことを思い出す。いつの間にか肉体関係を持つようになった同胞に何度も抱かれるうちに、はじめは渋々だったはずが自分から求めるようになっている気がしてベジータは顔を逸らした。それを不満に思った悟空が寝間着に手を忍ばせてくる。
「くそ、こんな朝早くから盛るな」
「朝じゃなかったらいいんか?」
「そう言う意味じゃ……、ッ!」
横腹を撫でていた手が上がってきて胸を這う。指先が反応しかけていた突起に触れてきたかと思うと弱い部分を押し潰してくる。突然の愛撫にベジータは体を強張らせるが、どんどんエスカレートしてくる悟空に意識がぼんやりとしていった。
いつも勝手に現れて、修行に誘われて、気が向けば近況報告や雑談をして、そして視線が交われば体を重ねる。昨日だって同じ流れで、結局同じベッドで寝てしまった。この関係が始まってからはずっとそうだと、ベジータは自分に劣情を抱いている同胞を見上げる。何故ここまで執着されているのかはいまだに分からない。以前に訊いたことはあるが納得のいく返事はなかったし、強さとは別の理由でこの男に好意を持たれる理由は思い浮かばなかった。
口には出さないが、互いに同じサイヤ人の戦士としては認め合っているとは思っている。悟空のことを好きか嫌いかで言えば好きだ。だけどそれは共に強さを高め合う関係での“好き”で、相手も同じようなものだと思っていた。しかし、こうして肌を重ねてみるとそれだけではないと分かる。確かな熱を持って触れられて情欲を向けられているのだと感じ、それは到底無視できないものだと直感したのだ。
「う、んッぁ、あア……」
抑えきれない声が漏れ始め、服の中をまさぐる手の動きが激しくなる。きっとこのまま、いつもの様に流されてしまうのだろう。それも悪くないと思いはじめてからは、むしろ悟空を求めてしまうことに慣れてしまった。
もう、いいか。追い返すことを諦めたベジータは自分を押し返してくる男の背に腕を回す。まだ他に誰も起きていないだろう時間だから騒いで起こしてしまわないよう注意しつつ、ベジータは悟空とともに行為へと溺れることにした。
後孔を太い指が這い、つぷりと押し込まれる。すっかり柔らかくなったそこにすんなりと入って行く指が中を押し広げ、ベジータのイイ所をコリコリと引っ掻いた。
「あっぅあッん、ン!」
「ベジータ、力抜いて」
言われた通りにする為にゆっくりと息を吐くと褒美とでも言いたいのかキスを落とされる。
瞼を閉じれば、はじめて悟空と一線を越えた日の記憶が蘇るようだった。