がちゃがちゃ

憂える太陽を見ている

 それから悟空は、よりベジータと時間を共有するようになった。この関係になる前から修行や食事は一緒にすることが多かったが、今では肌に触れてみたり、愛おしさが募れば唇を重ねる。意外なことにベジータはそれらのスキンシップを拒まなかった。それが嬉しい反面、悟空は不思議でたまらなかった。なぜなら、ベジータとはプライドの塊の様な男だからだ。ストイックで、強さに固執し、力を手に入れる為なら手段を選ばないような戦士だというのに同じサイヤ人との逢瀬に現を抜かすようになるなど思わなかった。だが今まで知らなかった彼の一面を知れたような気がして嬉しくて、心を許してくれたようで愛おしくて、悟空はもっとベジータのいろんな姿を知りたいと思うようになっていった。

 そして、ついに子どものママゴトのような関係が終わりを告げる時が来た。その日も悟空とベジータは森の奥で、修行に励んでおり、気が付けば辺りは真っ暗になっていた。悟空はそろそろ帰宅することを伝えようとしたが、それより先にベジータはその手を引いてどこかに導こうとした。
「どこに行くんだ?」
 腕を引かれたまま悟空が問えば、森の中の少し開けた場所に出た辺りで、黙ったまま前を歩いていたベジータが足を止めた。そして持ち歩いてたらしいカプセルを投げると、木々で隠すかの様にカプセルハウスが現れた。それは少し小さめのハウスだったので、帰る前にシャワーでも浴びるつもりなのかと思った。確かに今日は暑くて汗もたくさんかいた。汚れを落として帰りたいのかと思ったが、悟空としては先ほど川のほとりで顔を洗ったので気にしていない。しかしベジータは思っているよりも綺麗好きなのかもしれない。
 悟空はベジータに連れられながらハウスの中に入った。中は部屋の中央にダブルベッドと、その横に小さなチェストがあるだけの簡素な内装だった。少し奥に恐らくバスルームらしき部屋があるが、キッチンやテーブルなどの家具や他の部屋は無さそうだった。簡易的に寝泊りするためだけのハウスなことは見て分かったし、ベジータも「シャワーを浴びてくるからそこで待っていろ」とベッドを指さしたので、やはりシャワーを浴びたかっただけなのかと悟空は言われた通りベッドに腰を降ろす。そのままフカフカとしたシーツの上へと大の字に寝転んで天井を見上げていると、バスルームからシャワーの音が聞こえてきた。耳を澄ませてその音を聞いていると悟空の頭の中ではよくない考えが広がっていった。これは、きっと人間としての本能だと思う。シャワーを浴びている彼の姿を想像してしまうのは、仕方がないのではないだろうか。だって、彼のことが好きなのだから。

 そうしているとシャワーの音が止み、いつもの戦闘服ではなくタンクトップにゆるめのボトムスというラフな格好に着替えたベジータがバスルームから出てきた。よくないと思い、悟空は少し火照っている肌をなるべく見ない様にしていたが、ベジータは寝転んだままの悟空の上に乗り上げてきた。
「……ベジータ?」
 返事をせず、何も言わぬままベジータは悟空を見つめている。しばらくお互い黙ったままでいると、ふいに口元を緩めたベジータが悟空の太ももへと手を伸ばした。何をするつもりなのか訊く前に、ベジータは手をするすると滑らせて器用に悟空の道着を下着ごとずり落とし、曝け出された性器に躊躇うことなく触れてきた。
「ちょっ……と、なんだよ急に!」
 突然のことに驚いた悟空は大きな声をあげるが、手を止める様子はない。それどころか、ベジータは悟空の性器がゆるく勃ちあがってきたのを確認すると手の平に涎を垂らし、再び触れたソレを上下に扱き始めた。
「貴様が、これを望んでいたことぐらい分かってる」
 その小さな声に、悟空はごくりと喉を鳴らす。確かに、彼の言う『これ』を考えたことはあった。だが、あまりにも性急ではないだろうか。それを伝えてもベジータは揶揄う様に笑うだけだった。フン、と小さく鼻を鳴らして、硬くなった性器を見つめたままだ。
「ベ、ベジータ……そろそろ離してくれ、じゃねぇと……!」
「ああ、イきそうなのか、オレの手で」
 悟空が頷けばベジータはまた笑っていた。このまま気持ちよくしてくれればいいのに、どうしたことかあっさりと手を離してしまった。どうして。視線を送ればベジータはすべて分かっているとでも言いたげに目を細めている。そして自分の下に穿いているものをすべて床に脱ぎ落し、再び悟空の上に跨ってきた。さすがの悟空もベジータがこれから何をするつもりなのか分かってしまったが、もう止める余裕などない。ゆっくりと腰を落としていく彼の所作に見惚れながら、自分の欲望にまみれた性器が綺麗な箇所に飲み込まれている様をじっと見つめる。ぐぷ……と少し窮屈そうに先端を飲み込んだところでベジータの表情が歪んだ。無理をしないでほしいと思っているのに早くこの先を与えてほしい気持ちに抗えず、悟空は下から突く様に腰を動かした。
「あッあァ、ん……♡」
 無理やり押し込む様に動けば半分ほど収まって、悟空に跨ったままのベジータは後ろに手をつくと善がる声をあげながら腰を振りはじめた。ぐぽぐぽと下品な音をたてながら腹の上で乱れている同胞の姿に釘付けとなり、悟空は荒い息を吐くだけしかできない。全部を肉壁で咥えられたあたりでベジータの表情がより蕩けていることに気が付いて、つい「ベジータ……」と情けない声で名前を呼んでしまった。
「ベジータ、好きだ。好きだ……はは、やべぇな、頭ン中おかしくなっちまう」
「んッ、そんなの……今更だろうが、ァあっあん♡」
 もう一度下から突きあげると、ベジータのペニスからぴゅるっ♡と弱々しく白濁が溢れた。あのベジータが、自分とのセックスで善がっている。その事実に更に興奮は高まり、悟空は動きを止めるどころか上半身を起こして目の前の腰を掴み、より激しく、より深く突こうと動いた。
「あ、待て、ェ♡今イってるから、あッあぅ♡やぁ、あ、ンん♡」
「オラのちんぽでイってるの、かわいいな。オラもイきそうだから、もうちょっとだけ……、ッ!」
「や、んン……ッ、またイく、イく♡あんッあ、ああ……ッッ♡」
 ずぷんっ!と深く抽挿すると、再びアクメしたベジータと同時に悟空も彼の中で絶頂を迎えた。見れば、ベジータは中に注がれる感覚を味わう様にうっとりと目を細めてながら息を荒げている。ベジータが腰をあげると萎えたペニスが抜けていき、そこからはドロドロと注いだばかりの欲が溢れ出した。その様子がひどく官能的に思えて、悟空は再び熱が集まる前にそばにあったティッシュを掴んで自分の処理をすることだけに集中した。

「オレに欲情してる貴様の顔は間抜けだったぞ」
 いつの間にか身体を拭いて綺麗になっていたベジータが悟空の隣に寝転んできた。向き合う様に寝返りを打てば満足そうな表情を確認できたので、むき出しの肩を抱いて触れるだけのキスをした。
 ああ、幸せだなぁ。こんな時間をもっといっぱい作ることが出来たなら、どんなに良いだろうか。そんなことを考えているとベジータが手を伸ばして髪を撫でてきた。「ごわごわしている」と文句を言われたので、お返しにキスをもっと深くした。