がちゃがちゃ

夢で会えるよ

くだらない記憶に祈る

 ベジータは夢を見ていた。この夢を見るのは何度目だろうか、もう覚えてもいない。今日も夢の中で悟空に抱かれている。この夢を見ている時は、いつも情事に耽っている気がした。
 その日は一体どこだか分からないだだっ広い部屋の中央にある無駄に大きなベッドの上で、何時間も悟空から突かれていた。媚穴を上に向ける様にベジータの足を持ち上げ、悟空は覆いかぶさりながら体重をかけズポズポとピストンしてくる。奥深くまでプレスされているベジータは痙攣しながら脚をがくがくと震わせていた。
「ッはは、すげーなベジータ……ナカ、ずーっとびくびく、してる」
 息を乱した悟空が抽挿しながら途切れ途切れに話しかけてくる。しかしベジータには返事をする余裕などあるわけもなく、無我夢中で奥を貫いてくる怒張を締め付けていた。
「ひう、んァッああア♡奥気持ちぃ、イくっいく♡ちんぽ気持ちィ♡ちんぽでイく♡もっとぉ、もっと奥にすぽすぽってしてェ♡」
「うん、一緒にイこうな?」
 どちゅんっ♡と深く突かれ、ベジータはぴゅっ♡ぴゅるるッ♡と何度目か分からないアクメをする。同時に悟空が最奥に種を叩きこんできて、屹立を抜かれた瞬間にごぽォ……♡と音を立てながら注がれていたものが溢れてきた。
「や、やだァ……まだ足りない♡もっとちんぽ欲しい♡イきたい、かかろっとのちんぽでイきたい♡」
 ベジータは自分が出したものと悟空が出したもので体中がベトベトになっているにも関わらず、離れて行こうとする悟空を逃がすまいと腰に足を絡めている。その様子を見た悟空は目を細めて笑うとベジータを抱えて起こし、優しく抱きしめた。
「ああ、いいぞ。今日のベジータは甘えん坊だなぁ。素直に甘えてくれるの、オラは好きだよ」
 素直。その言葉が引っかかったベジータは顔を下げる。意識しない様に聞こえない振りをしていると座っている悟空の膝に乗せられた。そして後ろに手が回って来て白濁を溢れさせている後孔に指を挿入される。びくんっと反応した衝撃に耐える様に悟空の首に腕をまわして強く抱き着くと、耳を甘噛みされて脳が溶けていきそうになった。
「あっ♡あんっ指じゃ嫌ぁ♡やッ、やらあぁ♡」
 無骨な手が無遠慮にぐちゅぐちゅとナカをかき混ぜていく。何度もちんぽを咥えたそこはトロトロになっており、指では足りないと言いたげにヒクヒク♡と疼いて指を締め付けていた。だと言うのに、すっかり敏感になってしまったメスシコリをぐにぐにと擦られて、それだけで甘イキしてしまう。
「かわいいな、またイってる。気持ちいいか?」
 鼻歌でも歌い始めそうな程に上機嫌な悟空が指で犯してくる。途中でぐちゅっ♡と強く抉られて腰が仰け反りそうになったベジータは「んンっ♡」と鳴いて、ぴゅっ♡ぴゅっ♡とメスイキしていた。
「あァ、ん……ッ♡指でぐちゅぐちゅってされるのぉ、気持ちい、ィ……、ぁンんッッ♡」
 穏やかな刺激に善がっていると、ちゅぽんっ♡と悟空の指が抜けていった。物足りなさに切なくなったベジータは腰を揺らして再び張り詰めている悟空の怒張を挟むようにして双丘を擦りつける。
「ここ、はやくいれろ……♡」
 対面座位になるように腰を降ろせば、亀頭がキスをするように淫穴に吸い付いていく。すると下からとちゅんっ♡と緩く突かれて、あっという間にすべて咥え込んでしまった。
「ぁッ♡ちんぽきたぁ♡んンっ奥、もっと奥にきて、ェ♡」
 喘ぐベジータの要望に応えるように、ぱちゅっ♡ぱちゅんっ♡と悟空が下から突いてくる。そのまま腰を掴まれて、隘路を抉る速度が上がっていった。しっかりと味わうように媚肉で生ちんぽを締めると身体がその形を覚えているのか、すっぽりと収まる様に全て快楽へと変わっていった。
 オナホの様に扱われても構わない。都合の良い存在でも構わない。体の繋がりさえあれば、心が繋がっていなくとも寂しさに包まれることはないのだから。
「あー、やわっこくて気持ちい……ベジータのナカ、オラのちんぽの形になってるかもなぁ」
「いいッ♡ちんぽでイくっイくからァ♡かかろっとのちんぽしかいらないッ♡あっあん♡またちんぽでイク♡イく、ぅ……――~~~ッッ♡♡」
 見上げると視線が交わって、何も言わなくても悟空はキスをしてくる。舌を捻じ込まれながら下から何度も激しく突かれ、種を注ぎ込まれた瞬間にベジータは幾度目かの絶頂を迎えていた。

 膝の上でがくがくと震えている同胞の背を、夢の中の悟空が愛おしそうに撫でている。そのままゆっくりベッドに横たわらせ汗で額に張り付いた髪を払ってやれば、ぼーっと天井を見上げていた。
「気持ち良かったなぁ、ベジータ」
 言いながら悟空が顔いっぱいにキスを落としてくる。更に「好きだ」と付け加えられて、悟空と目を合わせられないベジータは逃げる様に頭まで布団をかぶった。そんなことは気にしないのか、悟空は肘枕で隣に寝転んできた。
「ベジータとここで会うの何度目だろうな。いつも我慢できなくて、えっちしちゃうけど……現実のオラとも会ってるのか?」
「……聞いてどうするんだ」
 少しだけ顔を出したベジータに、すかさず悟空は横から抱き着いてきた。二人分の心臓の音が聞こえる気がして、ベジータは視線を合わさない様に反らしている。
「だってさ、一応オラともう一人のベジータは現実のおめぇ達の為に作られてっから……まだここが残ってるってことは、何も進展してないのかなって心配になるよ」
 それを聞いて、ベジータはやっと隣に寝転ぶ悟空を見た。そもそもこの夢はウイスが悟空とベジータの力を引き出すために作ったものだ。役目が終われば消えることは自然なことで、そうすれば隣の悟空も、もう一人のベジータもいなかったことになるのだろう。
「貴様は、それでいいのか」
 ベジータに真っ直ぐ見つめられている悟空は困ったように笑うと、今度は唇に触れるだけのキスをしてきた。
「いい、というか……そういうものだって分かってたからなぁ。いつまでも残ってるわけにもいかねぇし、だから悲しいとかそういうのはねぇぞ。たぶん、もう一人のベジータも同じなんじゃねぇかな」
 あっけらかんとしている悟空に、ベジータは胸の内に抱えている靄が濃くなるのを感じた。例え夢だろうと幻だろうと、ベジータにとって目の前にいるのは孫悟空でありカカロットに違いない。いつかは消えると言われて、簡単に飲み込めるわけがなかった。そんなベジータの様子に気が付いたのか、悟空は「大丈夫だってぇ」と笑顔になった。
「オラ達が消えたらさあ、ベジータ達の記憶からもしっかりと消えるんだ。だから気にすんなよ」
「そんな、簡単に……」
 言い終えてすっきりしたのか、悟空は真剣に話を聞いていたベジータの身体を抱き寄せると股間を擦りつけてきた。それはベジータのモノに触れ、くちゅ……♡と水音が鳴る。
「もう覚めるかもだけど。もう一回、シてもいいか?」
 そう言われて断れるはずがなく、ベジータは静かに頷くのみだった。首筋に顔を埋めて大きく息を吸うと、大きな手に強く抱きしめられる。
「大丈夫だって。きっとすぐに、迎えに行くから」

 * * * * * * *

 目を覚ますと、そこは現実のビルス星の寝室だった。ベジータは起き上がると手早く身支度を終え、未だ夢の中の同胞を置いて外に出る。今日も家事手伝い。そして修行。必要なことなので行っていると言うのに、例の夢のせいで身が入っていない気がしていた。
 朝食の準備をしようと食堂に向かっていると、途中でウイスと会い声をかけられた。
「おはようございます、ベジータさん。そういえば、昨日はどうでしたか?」
 ウイスの話す『昨日』とは、朝食の後に寝室で悟空と事に及んだことを言っているのだろう。あの時は我を忘れてセックスをして、修行の時間を大幅に削ってしまった。
「別に、なにもない」
「やっぱりそうですよねぇ。だって、お二人は何も変わっていませんから」
 穏やかな口調なのに挑発する様な言い方に、ベジータは顔を顰める。ウイスの目的は分かっているが、結局悟空とは夢の話も、これからどうなりたいかも話していない。
 怖い。ただそれだけの理由で足踏みしてしまう己の弱さが憎い。だけど、どうすればいいというのか天使は教えてくれないのだ。
「ベジータさんは物事を難しく考えすぎなんですよ。ほら、深呼吸して。もっとリラーックス、そして、自分に正直に……」
「なったとして、それがなんだと言うんだ」
「あらまぁ。今日もご機嫌斜めなんですね」
 ウイスはにこりと微笑んでベジータの後ろへ視線を送る。それに気が付いて振り返ると、やっと起きたのか身支度を終えたらしい悟空がバタバタと忙しなく走ってきた。
「ひでぇよベジータ、起こしてくれりゃいいのに……」
 欠伸をしながら現れた悟空にベジータは舌打ちする。ふいっとそっぽを向くと、それを見ていた天使は「おやおや」と口元に手を当てていた。
「本当ですよぉ、ベジータさん。もっと悟空さんに優しくしてあげてください」
 ウイスが食堂に向かって歩き始めたので、悟空とベジータもその後に続く。朝食を終えたら家事手伝い、修行。そしてまた夜が訪れる。今夜は一体どんな顔をして悟空と顔を合わせればいいのか分からないベジータは、一日の始まりを憂鬱に感じていた。