夢で会えるよ
ベジータは久しぶりに悟空と供にビルス星へと修行に訪れていた。
正直に言えば悟空からビルス星への誘いを受けた時、今のベジータには同行するつもりはなかった。ビルス星に行ってしまうとどうしても悟空と顔を合わせる時間が多くなってしまう。不思議な夢の仕組みを知ってしまったベジータは悟空と二人きりになるのが怖かったのだ。だがウイスに「ベジータさんの悩み、悟空さんと一緒に来れば解決できるかもしれませんよ」と唆され、つい頷いてしまったのだった。
ビルス星に滞在している間は自然と悟空とベジータは二人きりの時間が多くなる。食事と睡眠時以外はほぼ修行や家事手伝いの時間ではあるが、それでも寝室では同じベッドで寝ることが多いぐらいだ。なのに、今回はまだ一度も悟空はベジータを抱いていない。それを自分から口にする勇気はベジータには無く、ただ時間だけが経っていった。
そうこうしている内に、ベジータには焦りが募っていった。もしかしたら悟空はもうベジータに飽きていて、気が付かない間にこれまでの関係は終わってしまったのではないか、と。
しかしそれを確かめる術などない。こんなことばかり考えて修行に身が入らなくなっても困るので無意識のうちに瞑想をする時間も増えた。今日も悟空との組み手をウイスに中断され、それだけで苛立ってしまう。
そして天使は「二人に細工をした」と話し始めた。もしかして、とウイスを見るが表情は変わらない。聞き覚えのある内容にベジータは何も言うことが出来ず、ただ余計なことは言ってくれるなとその話に耳を傾ける。悟空は反応を見る限りピンと来ていないようで、ベジータは一人で胸の奥でもやもやとしたものを抱えていた。
一日が終わり、就寝時間に寝室に戻ったベジータはベッドの上で瞑想をしていた。悟空の顔を見ると余計なことを考えてしまいそうで恐ろしかったのだ。
そして、今日も悟空から誘われることはなかった。それを不満に思う自分が一番気に入らない。それでも自分から誘うことは出来ず、ベジータはひたすら時が過ぎるのを待った。
悟空の視線を感じたときだって素直になればいいのに、どうしてもそれが出来ない。「おやすみ」と聞こえてきた時には安堵してしまっており、殻を破るどころか己の弱さにますます籠ってしまうばかりだった。
目が覚めて、寝返りを打つと相変わらず呑気に寝息を立てている悟空が視界に入った。いつも起こすまで眠っている同胞を叩き起こしてやるか放置して寝坊させてやるか悩んだ末、ベジータは第三の選択肢を取ることにした。もうずっと、身体が熱くて堪らない。
ベッドから出て、今度は悟空のベッドに乗る。まだ眠りこけている男の布団に潜り太ももの間に顔を埋めるようにして身体を寄せた。穿いているものを剥がすと、ぺちんっ♡とベジータの頬を叩く様にしながら朝勃ちしている生ちんぽが現れる。それだけで雄のにおいがして、ベジータは身体の奥が疼くのを感じていた。
(あ♡久しぶりのカカロットのちんぽ♡も、ダメだ♡我慢できない……ッ♡)
キスをするように亀頭を吸う。するとびくっと震えており、ベジータは先端から根元まで丁寧に舌を這わせていった。続けていると更に硬くなっていき、今度は口に含んでじゅぽ♡じゅぽ♡と音を立てながら吸っていく。口の中に広がる味に、どんどん身体は興奮していった。
「あ、んぅ……かかろっとぉ、……♡」
はやく、はやくこれを挿入れてほしい。イきたくてたまらない。着ているものを脱ぎ捨てたベジータの片手は無意識に後ろへと向かい、ちんぽを受け入れる準備を始めていた。
「は、ぁ……ベジータ、朝からどうしたんだよ」
しばらくすると口の中に熱が溢れてきた。どうやら悟空が目を覚ましたらしく、目の前の様子に戸惑っているらしい。
「知るか、そんなのオレが知りたい。うぅ、今朝起きてから、ずっと体が熱くてたまらないんだ……それもこれも貴様が、ここに来てからオレを一度も抱かないから……ッ♡」
ベジータは気にせず口から漏れてしまったものも舐めとり萎えたものにもキスをしていく。すると再び硬くなり、天を向いていた。
(ちんぽまた大きくなった♡ちんぽ欲しい♡いっぱいずぽずぽってしたい♡)
ベジータは横になったままの悟空に跨ると、勃起ちんぽを媚穴へ宛がい腰を降ろした。ずぷずぷと飲み込んでいき、久しぶりの感覚に腰が砕けそうになる。
「はぁ、かかろっとのちんぽ……やっと……♡」
最後まで咥え込み、肉壁で締め付けながら腰を振る。ゴリゴリとナカを抉られる刺激がベジータの脳を溶かしていった。
「あッあぁっン♡ちんぽ入った♡かかろっとのちんぽ♡オレの、ッおれのかかろっとのちんぽ……ッ♡」
「ベジータ、おめえ一体どうしたんだ……!?」
もう、何も考えられなくなる。夢なんて関係ない。手放したくない。その一心で、ベジータは腰を上下させている。
「わかんない、ぃ♡ただ、ッ奥にちんぽ欲しくて止まんない♡ふぁ、アっあん♡カカロットのちんぽじゃなきゃヤだ、あ♡かかろっとがいなきゃ、ッだめ、だ♡あ、ひぅッんン♡欲しいッ、はやくちんぽ欲しい……♡」
喘いでいると、悟空が下から突いて来た。それだけで仰け反ったベジータは絶頂してしまい、だらしなくイった姿のまま善がり続けた。
「ああ゛っ♡ちんぽ奥にきたァ♡イった♡ちんぽでイった♡こんな、みっともなくイきたくないのにィ、またちんぽでイっちゃう、ぅ♡かかろっと、ッふ、あっあんっ♡や、ぁッ、カカロットぉ、――~~~ッッ♡」
ちんぽで突き上げられるたびに連続アクメしてしまう。終いにはぷしゅっ♡と潮を吹いておりバランスを崩すと、悟空の上に倒れ込んでいた。
その後はウイスが起こしに来たせいで我に返った。悟空が布団をかぶせてきてカモフラージュしてくれたおかげで痴態は見られなかったと願いたいが、どうせあの天使は全てお見通しなのだろうと思うと死んでしまいたくなる。
* * * * * * *
先に用意できたベジータがもたもたしている悟空を置いて家事手伝いを始めようとすると、ウイスに朝食の準備ではなく掃除をする様に頼まれた。言われた通り階段の掃除に取り掛かっていると、随分と上段から笑顔の天使が見下ろしながら名前を呼んできたので顔を上げた。
「ご苦労様です。夢の調子はどうですか?」
「調子って……」
掃除の手を止めたベジータにウイスが止めるなと視線で訴えてくる。言い返せず掃除を続けながら「別に何もない」と返すと「おかしいですねぇ」とぼやいていた。
「そうそう。後で悟空さんにも伝えておきますが、朝食の後は一旦寝室に戻ってください。私の“細工”の結果がそろそろ表れると思うので」
「その夢なんだが、あれはどうにかならなかったのか……」
どこかご機嫌な様子のウイスにベジータはため息をつく。肩を落としていると、ウイスは大げさに眉を下げ人差し指を左右に振った。
「まぁまぁ、前にもお話したでしょう。私は夢の内容には関与していないんです。かわいいお二人のことを思って、普段なんともいえない距離を取っている貴方たちの仲を取り持とうとしているんですよ」
「それが強さとなんの関係があるんだ」
ついモップを掴む力が強くなり柄を折りそうになる。そんなベジータの苛立ちに気が付いているのかいないのか、ウイスは平常時のまま口元に手を当てて微笑んでいた。
「ふふ、短気はよくありませんねぇ。まあ、なんと言いますか……悟空さんとベジータさんは不思議な関係を築いていらっしゃる。友情、愛情、好敵手、サイヤ人の血……一体どれが貴方たちを保つキーなのでしょうか」
「何が言いたい?」
ウイスが階段を降りてくる。ベジータと同じ段までやって来て顔を近づけてきたかと思うと、指で眉間をぐりぐりと押されてしまった。
「きっとどれでもないのでしょう。だから貴方たちは立ち止まってしまう。互いに踏み込めないし、深いところで繋がっているにも関わらず平気で上辺だけのような顔をしている。それがずっとどこかで引っかかっている。違いますか?」
最後にピンッと指で弾かれ、ベジータはその痛みにモップから手を離してしまう。ウイスは音を立てて下に転がっていくモップを見届けるとベジータに背を向けた。
「登るのは難しいのに落ちるのはあっという間ですよね。だからこそ、貴方たちには立ち止まっていてほしくないんです。それが足枷となり、貴方たちの修行の妨げになっている。逆に言えば、これを解決すれば成長スピードが上がるという事です。なんであれ足枷なんて、無い方が良いに決まっていますから」
ベジータは最下部まで落ちていったモップを見つめる。ウイスの言葉が頭から離れず、しばらくその場に立ち尽くしたままとなってしまった。
* * * * * * *
朝食後、寝室に戻ったベジータは再び悟空に抱かれていた。
再び「好きか」と確認してくる悟空に、何を返すのが正解なのかが分からない。ウイスは素直に胸の内を曝け出せと言うが、それがベジータにとってどれだけ恐ろしいことなのかあの天使は分かっているのだろうか。
「ベジータがこんなになっちゃったの、全部オラのせいなんだよな」
悟空の言葉にベジータは涙が出そうになった。その通りだと突っぱねてやりたいのに、その腕に抱かれる心地よさを既に知ってしまった。今更手放すなんて出来るはずもない。なのに手を伸ばすことも出来ない。今のままを保ったままでいたいというのは、そんなに贅沢な悩みなのだろうか。
次第に悟空とのセックス中に乱れることへの抵抗感は薄れていった。好意を口にすることは出来ないが、知らぬ間に与えられるものに対して素直に受けることはなんとか許容範囲となったのだろうか。
何度目かの射精の後、悟空はベジータの乱れた髪を撫でながらキスをしてきた。今目の前の悟空が見ているのは自分のはずなのに、違う誰かを見ている気がする。思えば悟空もウイスから与えられた夢を見ているのだ。そちらのベジータから何故はしたない格好や言動をとっていたのか、その理由をもしかしたら聞いているかもしれない。だとすると、ベジータの本心だって既にバレているのだろう。
途端に馬鹿らしくなってきて、ベジータは悟空をまっすぐ見ることができなくなった。