夢で会えるよ
次に目を覚ますとベジータはいつも悟空と修行する時に訪れる荒野にいた。自宅の寝室で寝ていたはずなのにと辺りを見渡すとそこには戦闘態勢の悟空がいて、こちらに向かって構えている。
「どうしたベジータ。はじめっぞ!」
どうやら二人で戦闘を開始するところだったらしい。なんとなく状況を理解したベジータは直前の記憶は無いにしても、悟空との戦いを拒む理由もない。こちらも構えると悟空が笑った気がして、ベジータは胸が躍るのを感じた。
「さあ来い、カカロット!」
心なしか普段よりも軽い体を動かしていると、もやのかかった頭の中がすっきりと晴れていくようだった。
そしてしばらく体を動かした後、ベジータは汗を流す為に用意したカプセルハウスを取り出すと悟空に視線を送った。熱い視線が絡み合って、この後行われることを想像するだけで身体の奥がきゅん♡と疼いてしまう。それは地球での二人の間の合図となっており、いつしか修行後に一緒にシャワーを浴びることが合意のサインとなっていた。
シャワーを浴びた二人はベッドに辿り着くまでの時間も惜しみ、壁に手をついたベジータを背後から悟空が突いている。室内は淫らな水音と嬌声だけが響いていた。
「あっあぅ♡ひぅっ、ァああッ♡や、あんっ♡かかろっと、かかろっとォ♡」
「うん、気持ちいぃな……ベジータぁ」
慣らされてもいないのにナカはぐぽぐぽと音を立てるほどに濡れており、すんなりと怒張を受け入れている。そこでベジータはここが現実ではなく夢の中だと気が付いた。ここに来るまでの記憶が無いのも、この状態も、きっとウイスの言っていた例の夢の中だからなのだと思うとベジータの頭の中はぼんやりとしていった。
そんなベジータに考える暇は与えられず悟空にしっかりと腰を掴まれるとガチガチの生ちんぽで浅いところを何度も抉られる。メスシコリを押し潰す様にピストンされ、ベジータは身体を震わせながらぴゅっ♡ぴゅるっ♡と甘イキを繰り返していた。
「イってるときの顔かわいいな。そんなにオラのちんぽ気持ちいいか?」
「うぅ、分かんなぃ……でも全然足りな、ィ♡もっと奥に欲しい♡奥にちんぽ欲しい……ッ♡」
肩越しに振り返ると悟空が顔を寄せて来た。吐息が分かる距離に身体を疼かせていると耳を甘噛みされ、更にベジータの全身は敏感になっていく。
「だよなぁ、ベジータはちんぽで奥にごりごりされるの大好きだもんな」
不意にどちゅんっ♡と奥を貫かれたベジータはトコロテンしてしまう。それに構わず悟空は腰を打ち付け続け、耐えられないベジータは足をがくがくと震わせていた。
「ァああッ♡待って、やァッあんっ♡だめっだめェ、今イってる♡イってるからァ♡♡」
「ベジータがもっとオラのちんぽ欲しいって言ったんだぞ。ほら、何回もイっていいから」
嫌だと言いつつもベジータはずぷずぷと押し込まれるちんぽを咥え込んで離さない。それどころか逃がさぬ様に締め付けており、もっと奥へ導こうとしていた。
「ッはあ、ベジータ好きだ。本当に好きなんだ……おめぇもオラのこと好きだよな……?」
悟空にごちゅっ♡と突かれると同時にたっぷりと種を注がれて、ベジータは再びぴゅるるっ♡と熱を吐き出してしまっている。
「ひ、やァッん♡あつ、いィ……奥、いっぱいきてる……♡」
「もっと奥にやるからさ。なぁ、好きだって言ってくれよ」
イった余韻に浸る間もなく硬度を取り戻した悟空は止まらず何度も突いてくる。ばちゅんっ♡と奥を突かれ何度目かの絶頂を迎えたベジータは肩で息をしながら小さな口を開いた。
「あンっあぅ、ンん♡好きっ好き、だ……ひぅッ♡好き、かかろっとのことが、すきぃッ♡」
「うん、オラもだ。何回でも聞きたい。いいよな?」
欲に溺れたままの二人はなんとかベッドまで辿り着くと、四つん這いになっているベジータの背後から悟空が深く貫いた。ちんぽを待ち焦がれて疼いている媚穴が、じゅぷじゅぷと押し入って来る勃起ちんぽをおいしそうに咥えている。
「ッかかろ、っとぉ♡や、それダメッ♡ひぁ、ァあんっ♡深いぃ、イくっ♡すぐイっちゃう、イっちゃうぅ♡」
「いいよ、イったらまたちんぽやるからな」
押し付けるようにして深く抽挿されているベジータが猥らに腰を振る。枕に顔を埋め与えられる快感を享受しようとしているが、もう自分の身体がどうなっているのかが分からない。
「もう出る……ッ!奥に出すからッベジータが欲しいの、全部やるからな」
揺さ振られる速度が上がり、響く水音も激しくなっていく。もう何も考えられないベジータは涎を垂らしながら肉壁を締め付けちんぽに媚びていた。
「ひ、ぁん♡はやくっ奥にきてぇ♡カカロットのちんぽでイくからッ奥に出して♡も、イクっイくぅ……ッッ――〜〜!!♡♡」
どちゅんっ♡とちんぽ押し込まれた瞬間にカリが強引に結腸口をこじ開けてきた。そのままぐぽぐぽと奥を犯されたベジータはメスイキすると震えながらくったりとその場に崩れてしまう。悟空は沈んだ身体に容赦なく中出しすると頬を擦り合わせる様に顔を寄せて来た。
「へへ、ベジータがオラのちんぽでイってるの嬉しいな」
挿入されていたモノが抜かれ、どぷっ……♡とたっぷり注がれていた白濁が溢れてくる。それも気にせずベジータは視線を悟空に向けると手を伸ばし、近づいてきた頬を撫でた。
「カカロット……。お前はかかろっと、なんだよな……?」
こんな質問をして意味があるのかは分からない。例え夢の中とは言え目の前の男はよく知る“カカロット”だろうと思っていたのに、外見こそ全く同じではあるがどこか違う気がした。現実でのカカロットはベジータに好きだと言わせようとはしないのに、夢の中の男は何度も同じことを言わせようとしてくるからだ。
「なんだよ、変なこと訊くんだな」
悟空はベジータを抱きしめると、まるで子どもをあやす様に背中を撫でてきた。誤魔化されている気がして「ちゃんと答えろ」と言えば、悟空は困ったように眉を下げて笑った。
「オラはカカロットだ。……って言いたいけど、たぶんベジータは気付いてるんだよな?」
「……なんとなく、だがな」
ベジータはゆっくりと厚い胸板に耳を当てるようにして顔を寄せる。そこから聞こえてくる心臓の音はいつか聞いたものと同じなのに、どうして違うと言えるのか。
「その感じだと夢の話は誰かから聞いてるんだろ?オラはさあ、半分本物で半分違うらしいんだ。正直自分でもよく分かってねぇけど、ベジータの思う“孫悟空”から作られてるんだってさ」
夢の中の悟空が話によると、目の前の男は“カカロット”ではあるがベジータの夢から作られた存在らしい。
ウイスが話していたことを思い出す。夢とは己を映し出す鏡、見えざる真実、そして自分自身。だと言うのなら、ここにいる孫悟空とよく似た男は“ベジータが望んだカカロット”ということになるのだろうか。
(このカカロットはやたらと好きだと言ってくるし、オレにも言わせようとしてくる。この前も、現実でそんなことがあったが……つまり、オレは)
ベジータが考え込んでいると、突然悟空が身体の位置を変えてキスをしてきた。驚いて避ける様に身を捩ると「なんで逃げるんだよぉ」と文句を言って口を尖らせていた。
「確かにオラはおめぇにとっては偽物かもしれねぇけど、少なくともここでは本物だぞ。それにオラはちゃんと“カカロット”だからベジータのこと大好きなんだけどなぁ」
その姿でしゅん……と眉を下げて悲しそうな顔をされると息が詰まりそうになる。仕方がなく好きなように甘えさせてやると嬉しそうに顔を綻ばせていた。
「ベジータが好きだ。ベジータとするキスも、えっちも、もちろん修行だって。オラがこう思ってるってことはさ、現実のオラもそうなんだよ。そんなこと本当は分かってるんだろ?」
こちらの心中を見透かす様な悟空の発言にベジータは訝しむ。確かに現実の悟空も飽きもせず何度も抱いて来るし好意も伝えてくるが、それは一時の気の迷いのはずだ。話を逸らす為に、今度はベジータから口を開いた。
「……現実のカカロットに夢の話は聞いている。そっちの夢でもオレがいるらしいが、その……こっちとは違って、おかしな格好をしていたらしい。そして、カカロットのことは知らなかった、とも言っていた。だがここでの貴様は違う。それは何故だ」
その質問に悟空は難しい顔をして「うーん」と唸る。唸りつつもどさくさに紛れてこちらの腰や尻を触ろうとしてくるので手を払うと「ちぇっ」と呟いて苦笑していた。
「詳しいことは分かんねえけど……たぶん、現実のオラはベジータに素直になってほしいって思ってたんじゃねぇかな。今のままだと絶対おめぇは意地張って正直にならねぇから、初対面からやり直しておめぇの本音を聞きたかったんだと思う。そのおかしな格好ってやつも、大胆になってほしいとかそういう奴のあらわれなんじゃねぇかな。夢なんて考えてるより単純だぞ。あ、でもそっちのベジータが人参を食っちまったのはまずかったかもな」
「何故だ」
今まで饒舌だった悟空が急に口淀んだので、今度はベジータから身体を密着させて抱きしめた。ばくばくと忙しなく動く心臓の音が伝わって来て、こちらまで気恥ずかしくなってくる。
「その……現実のものを食べると夢とリンクするんだってさ。夢と現実が影響し合うとか、なんとか」
「……つまり、最近のオレがおかしくなったのはカカロットが夢の中のオレに人参を食わせたせいなのか!」
恨みが募り、抱いた背中に爪を立てると悲鳴が聞こえてきた。
「いででッ!いや、そうじゃねぇんだ……!ああー、だから言いたくなかったのに」
「さっきからなんだ。はっきりと話せ!」
悟空はベジータに向き直ると小さく息を吐く。そして「怒るなよ」と前置きすると続きを話し始めた。
「逆なんだ。夢の中のベジータが、おめぇの影響を受けてるんだぞ」
悟空の言葉にベジータは絶句する。おかしな格好で乱れながら悟空のちんぽを強請る淫乱な姿が自分の影響を受けた結果だなんて、信じられなかった。
言葉を失い下を向いてしまったベジータの顔を悟空は不安そうにのぞき込んでくる。顔を上げないまま、ベジータは話を続けた。
「オレが……本当にオレが発端なのか?だが、夢のオレは人参のせいでおかしくなったと……」
「それさ、なんで人参だか分かるか?」
やっと顔を上げたベジータの背中を悟空が再びさすってくる。落ち着かせようとしているのだろうが、この状況で落ち着いていられるわけがなかった。
「前に人参はなんとなーくオラに似てるってさ、ベジータが言ったんだぞ。現実のオラはそれを覚えてて夢に反映されたんだろうな。だから夢の中のベジータは人参を食うとおかしくなっちまう。へへ、“カカロット”の過剰摂取?って奴になるんかな」
悟空は何故か自慢げに話している。続きを促す様にベジータが視線を送るとばつが悪そうに眉を寄せた。
「なのにさ、ただでさえ人参のせいでおかしくなってんのに現実のものを食わされたせいでおめぇの影響も受けてんだ。つまりは二倍おかしくなっちまってる状態だな」
「それが本当なら……オ、オレが、本当はカカロットの前で、夢の中の様に乱れたいと思っている、ということなのか……?」
真実を受け入れられない声は震えている。悟空は腕の中のベジータを優しく抱きしめると、「そうだなぁ」と続けた。
「夢って実際より大げさになるらしいから、全部がおめぇのせいってわけじゃないと思う。ただ、現実のオラの前で正直になりたいって気持ちは本物なんじゃねぇかな」
今ならきっと変われる。そう言われた気がして見上げるが、視界が光に包まれていく。
今はまだ、悟空とどうなりたいかが分からない。夢から覚めた時、その答えが見つかっているだろうか――。