がちゃがちゃ

夢で会えるよ

陽炎とプリズムの痛み

 ベジータが初めて悟空に抱かれた日は、とにかく最悪だった。悟空のセックスはお世辞にも上手いとは言えなかったし、そもそも男同士で行うのもお互いはじめてで気持ち良さなんて欠片も無かった。痛みが伴うばかりで悲鳴のような声をあげそうになったが、それを聞いてしまえば悟空は行為をやめてしまうと思い必死に耐えた。やっとここまでたどり着いたのだ、それだけは絶対に避けたかった。
 だと言うのに、思い切り中出しされたせいでベジータは悟空を睨んだ。だが、こちらを求めて無我夢中にへこへこと情けなく腰を振ったり絶頂後の満足そうな悟空の表情を見ていると可愛いだなんて思ってしまって、信じられないがそれだけで満足していたのだった。
 以前に悟空から好きだと告げられた時、どうしていいか分からないベジータは返事をしなかった。何故だか不快な気持ちにはならず、どちらかと言えば優越感さえ得ていたのだ。そして、どうにも引きそうにない同胞を前にしていると無意識のうちにキスをしていた。それ以来ベジータは、悟空に求められれば抱かれ続けたのだった。それが二人の関係の始まりだった。
 悟空とのセックスは苦しいだけで気持ち良さを感じたことは無かったが、なんとなく嫌ではなかった。ベジータは悟空が何故こんなにも自分を求めてくるのか分からなかった。女ではないので柔らかくはないこの身体で満足させられているとは思えなかったし、雄を喜ばせるような媚び方も出来ず甘い声一つもあげられないのに、と。
 そんな中、ベジータが用意していたカプセルハウスの中で悟空との何回目かの情事中に「何が楽しくて男なんか抱いているのか」と思っていていると、身体に変化が現れはじめた。
(……なんだ、これは?)
 悟空に組み敷かれているベジータはいつものように平均よりも大きな陰茎を突っ込まれながら奥を無茶苦茶に突かれていた。それでも声を押し殺して必死に耐えていると突然に電気が走ったような、脳がビリビリと震えたような、不思議な感覚が全身を走った。
「……っぁ!」
 溢れたのは、本当に小さな声だった。だがそれを聞き逃さなかったらしい悟空はいつも以上に激しく腰を打ちつけてくる。ベジータは何が起こっているのか分からぬまま大量の精液を注ぎ込まれ、気がつけば自身も同時に果てていたのだった。
「ベジータ、やっと一緒にイけたなぁ」
 言いながら悟空が愛おしそうに頬を寄せてきて、ベジータはついその頭をぐしゃぐしゃと撫でてしまう。すると幸せそうに目を細めていたので「調子に乗るな」と鼻を摘んでやれば「ぎゃっ!」と情けない声をあげ、手で顔を押さえていた。確かに悟空の言う通り、ベジータが悟空とのセックス中に絶頂を迎えたのは初めてのことだった。今までは最中にイくことが出来ず、悟空が達した後にひっそりと抜いて終わり、という流れだったのに。余韻に浸りながらほんやりと天井を眺めていると、悟空はすかさず呼吸を整えようと上下する胸に触れてきた。突然のことにベジータは驚いて逃げようとするが、悟空はそれを逃がさぬように抑えつけてきた。
 ベジータは今まで胸に触られて感じたことなどない。女ではないし、今もこれからも違和感やくすぐったさを覚えることはあっても快感を得ることなんて無いと思っている。それでも最近の悟空はいつも執拗にそこを愛撫し続けてきていたので、単純に悟空が胸を触るのが好きなだけなのだと思い放っておいた。
 なのに、いつもは特に反応の無いそこを軽く愛撫されただけでベジータの体はびくんっ♡と跳ねた。いつの間にか雄を誘う様に上を向いてぷっくり膨らむようになった生乳首と乳輪を悟空に指の腹で擦られ、無意識に喘いでしまう。今の状況を信じられないベジータは慌てるが正直に反応してしまう身体は誤魔化せない。
「やめ……ッそこ、触るなァ……あッ、ひぁんっ!」
 そこでベジータは悟空と繋がったままだったことを思いだした。腹の奥で硬度を取り戻した怒張がゆるゆると動き始めたのを感じたと思ったら、イった直後で敏感になっている身体を暴いてくる。しかも悟空のせいで性感帯となってしまった乳首を扱かれながら突かれているせいで、普段よりも甘ったるい声を出してしまう。
「かかろ、っと、やだ、やめろっ!あんッ、ァああ……はやくっ、とまれェ……ッ!」
「なんでだよぉ、気持ちよさそうなのに。いつもよりうねってて、かわいい顔してて、凄くえっちなことになってるぞ」
 きゅむっ♡と両の乳首を摘ままれて下で咥えたままの生ちんぽを締め付けてしまう。すると深く覆いかぶさってきた悟空から徐々に激しく揺さぶられ始めて、ベジータは堪らず目の前の男の背に腕を伸ばした。
「そんなはず、無いのにィ……ひぅ!や、やらァ……ぁンッ!も、イくっいくぅ!」
「ああ、いいよ。これからもさ、いっぱい気持ちよくなろうな……?」
 再び最奥へ種付けされたと同時にアクメしたベジータは蕩けた目でこちらを見つめる悟空を見て、ゆっくりと意識を手放していった。
 
 * * * * * * *
 
 あれ以来、ベジータも悟空とのセックスへ溺れるようになった。少しずつではあるがこの身体で悟空を悦ばせられるようになってきた気がするし、自分も同時に快楽を得られるようになった。認めたくはないと思いつつも、実際はこんなに嬉しいことはない。
 だから、それだけで満足だった。心は通わずとも身体さえ求められていればこの繋がりが消えることは無いと思っていたし、これ以上乱れる必要も無い。長年の想いを伝える必要もない。もし何かを勘違いした悟空がそれらしいことを言ってきたとしても無視しなければならないから、いつも抱かれながらこれ以上を求めてはいけないと頭の中で何度も叫び続けているのだ。
 そう心に決めているベジータにとって、それなりの距離感を保ったまま悟空と情事に耽ることは、とても、とても、幸せな時間だった。

 なのに、いつからかベジータはおかしな夢を見るようになった。ビルス星の寝室で寝た日、夢の中の悟空はいつもの橙色の道着を身につけた見慣れた姿で現れた。そして、言動も普段と変わらないのに現実よりも激しくベジータを抱いてくるのだ。強く腰を抱かれたかと思えば、次の瞬間にはくちゅくちゅと音が響くほどに深くキスしてくる。その隙に服の中に大きな手が潜り込んできて、形の良い双丘の奥の窄みをいやらしく撫でられた。そのまま服を脱がされ、寝室のベッドに押し倒してきて、窄まりの奥へ無骨な手でローションを塗りたくられる。それだけでも身体が反応してやまないと言うのに、更にとんでもない質量の勃起ちんぽの先端が視界に入ってきた。それは今までと違ってヒクヒク♡と疼く媚穴へ向かって、まるでベジータを味わうかのようにゆっくり、ゆっくりと侵入してきた。
「うぅ、カカロット……なん、でェ……ッ♡」
 いつもの自分とはまったく違う甘ったるい声が溢れてきて、ベジータは思わず耳を塞ぎたくなった。嫌だと言っても悟空には聞いてもらえず、力任せにベッドへ押し付けてきた男に強く腰を打ちつけられ、わざと乱す様に身体を揺さぶられてしまう。
「あ゙ァっあん♡カカロット、ぉ……ひぅッ♡ぅう、かかろっと、カカロットぉ……♡」
 ちんぽに善がる感覚に混乱するベジータは、助けを乞うように自分を見下ろす悟空の目を見る。その二つの黒色はうっとりをベジータを捉えているだけで、この行為をやめるつもりが無いことが分かった。
「ひぁっあぁッん♡んぅ、ァああッやァ、ンん♡あアッぁ、あぅッイく、イくぅ♡もぅ、イっちゃうッ♡……ンン……ッッ!!♡♡」
「ん、イっていいぞ。ッはァ、……ベジータの中、あったけぇな」
 浅いところをカリで擦るように抉ってきて、そのまま悟空は何度も何度もベジータを深く突いてきてきた。それだけでベジータは達してしまい小ぶりなペニスはぴくんっ♡と可愛らしく震え、先端からはぴゅるっ♡ぴゅるるっ♡と欲を溢れさせて腹の上を汚していた。こんなイき方を知らないベジータはますます混乱するが、悟空は腰を止めることなく絶頂途中の体の奥をごちゅっごちゅっ♡と容赦なく貫いている。
「はは、派手にイってるなぁ。そんなに気持ちいいんか?」
「ッい、ぁあ゙っ♡分かん、なぃ……ッ♡ンぅ、あっやだ♡や、やだっやだァ♡今イってるから、ぁあんっ♡うぅ、ひぁんッや、やらぁ……ッ♡イくっまたイくぅ♡お腹の奥きゅんってしてぇ、イくの止まんないィ♡ッもぅ、ちんぽやだっ嫌ぁ……ッ奥、ずぽずぽってしない、でェ……ッ♡」
 部屋中に響くほどの水音が耳障りなはずのに、ベジータがいくらやめてくれと訴えても止まらない。これは、もはやセックスではなく交尾だった。
「ぁあア゙♡奥だめっだめぇ♡あんっぁ、ひうぅ♡ぁあァッやァ、やだっ♡ずぽずぽしちゃ、いやぁ♡からだ変になるっ♡またちんぽでイくっ♡奥ごりごりってェ、しない、でぇッ♡イクっイくぅ♡ちんぽでイっちゃうぅ……っっ――〜〜〜!!♡♡」
 どちゅっ♡どちゅんっ♡と最奥をカリ高ちんぽにハメられているベジータは最後に悟空から塗り込むように種を叩きつけられると、腰を大きく跳ねさせて再びアクメしてしまっていた。もはや先端からは何も出ず、メスイキして重たくなった身体は言うことを聞かない。
 ベジータが乱れた呼吸を整えようとしている中、悟空が屹立を突っ込んだまま胸へと手を這わせてきた。イったばかりで淫らにピンっ♡と尖っている勃起乳首を軽く擦られただけで「ひぅッ♡」と媚びるような声を出してしまう。その事実にベジータ本人が驚いていると二つの突起を好き勝手に捏ねくりまわされて、未知の感覚に身を捩った。しかしそれは確実に想像していたものとは真逆の方向に進み、気がつけばナカに収まったままの屹立をきゅう……ッ♡と強請るように締め付けており、案の定それは質量を取り戻していた。
「すっげぇ締まってるな……また勃っちまった。ベジータぁ、おっぱい気持ちいいか?」
 まるで挨拶でも交わすかのような普段と変わらない口調の悟空にベジータは息を呑む。今の状態では「そんなことない」とハッキリ返すことが出来ず、「うぅ……ッ♡」と甘く鳴くことしかできないのだった。
 反論しないままでいると気が付けば体を支えられながら上半身を起こされており、繋がったままのベジータは悟空の膝の上に乗せられていた。以前より大きくなっている雄を誘うピンク色の乳輪をねっとりと悟空の舌が這っており、更には形をなぞる様に執拗に舐められ、そのもどかしさにベジータはふるふると震えている。そして、いやらしく尖るぷっくり膨れた乳首をぱくりと口に含んできて舌先でつんっ♡と可愛がる様につつかれた。
「ぁう♡おっぱいダメぇッ♡気持ちよすぎてッヘンになるぅ♡ンんっやだっやだァ、乳首吸わない、でェ♡ッアああ、ぁンっ♡あ゙あァ……ッッ――〜〜!!♡♡」
 その震えは大きくなって、びくんっ♡と大きく腰が仰け反る。呆気なく何度目かの絶頂を迎えたベジータは先端からぴゅっ♡ぷしゅっ♡と欲を吐き出すと、まるで涎を垂らしているかの様にとろとろになっている先端を震わせながら苦しそうに肩で息をしていた。
「ん。やっぱりおっぱい気持ちいいんだな。ベジータが素直になってくれて、オラ嬉しいな……」
 言いながら悟空は口に含んだままの生乳首を味わうように舌で転がしてきた。もう片方の突起も指の腹で扱くようにシコシコ♡と擦ってくるので、ぴゅっ♡ぴゅっ♡と甘イキを繰り返してしまう。その反応を窺いながら、ベジータにとってすっかり性感帯となってしまったそこを悟空は執拗に弄り続けてきていた。
 胸への刺激に気を取られていると、悟空は思い出したかの様に繋がったままの身体を下から突いてきた。とちゅ♡とちゅんっ♡と揺らすように緩くピストンされ、ベジータはたまらず熱い息を漏らしてしまう。
「ひっあぁァ……ッ♡またちんぽ来てる……♡」
 遂にはもどかしい刺激に我慢ができずベジータは悟空の首に腕を回してしがみつくと、遂には自ら腰を振り始めたのだった。
「や、んンっ♡もっとちんぽ欲しぃ♡ひぅっカカロットの生ちんぽ♡いっぱい奥にきてる、ぅ♡あんっ♡ちんぽ気持ちぃ♡おっきぃちんぽでぇ、いっぱい突いてぇッ♡」
 淫穴で種を強請るように怒張を咥えたまま腰を上下させ、ぱちゅっ♡ぱちゅんっ♡と淫らな音を響かせながらちんぽに媚びているベジータは無我夢中に腰を振っている。亀頭で奥をぐりぐりとハメられる刺激から媚肉で締め付けてしまい、もっと奥にちんぽを強請ってしまうベジータは悟空にキスをすると熱を分け与える様に舌を捩じ込んだ。
「んぅ、ふ、ぁあッ♡キス気持ちぃっ♡ちんぽも気持ちぃ♡カカロットにちんぽでェ奥どちゅってされるの好きっ好き♡カカロット、かかろっとぉ、……好き、すきぃ……ッ♡」
「ああ、オラもベジータのこと好きだ。やっと聞けたな……オラもずっと、ずっと好きだ……ッ!」
 その言葉を聞いて、ますますキスも抽挿も深くなる。口の端からはどちらのものか分からない唾液がダラダラとはしたなく溢れるが、そんなことは構わず二人は交尾を続けていた。
「嬉しいッ♡オレもぉ、カカロットが好きっ大好きぃ♡だからぁっオレのことたくさん抱いて♡もっと本気せっくすして♡いっぱい気持ちよくして、いっぱい奥突いて、いっぱい生ちんぽでイかせて……ッッ♡♡」
 直後、悟空に汗ばむ腰を掴まれたベジータは体重をかけるように勢いよく腰を落とされた。どちゅっ♡どちゅんっ♡と下から激しく貫かれた体はビクビクと震え、悟空の腹に押し付けていたトロトロのペニスがぷるんっ♡と揺れる。そのままぴゅるる〜〜ッッ♡♡と連続アクメをキメると、与えられた快感を逃すまいと全身で受け止めようとしていた。
「あ♡またイっちゃったぁ……♡」
 イった余韻で震えている身体を抱きしめている悟空が自身を挿入している引き締まった肉尻を掴んでくる。そのまま激しく上下させながら何度も何度も目一杯に強く突き上げてきて、ベジータは凶悪ちんぽで媚肉を押し拡げられながら広い背に爪を立てていた。
「やぁッアあんっ♡またイくっちんぽでイクぅ♡かかろっとのちんぽでイかされちゃうッ♡やぁっあ、ぁンッひぅ♡ンぅッ、もっとぉ♡かかろっとぉ、もっとちんぽでイきたい♡せかかろっとのせーし欲しい♡いっぱい奥に出してぇ……ッ♡」
「うん、いっぱい、いーっぱい奥に出してやるからな」
 その言葉にベジータは下腹部をきゅんっ♡と疼かせると自分を犯す雄を強く締め付けて種を絞った。直後、一際奥を突いた悟空にたっぷりと中出しされたベジータはぷしゅっ……♡と潮を吹くと、蕩けた体ごとベッドへ崩れ落ちていったのだった。

 そこでベジータは目を覚ました。夢から覚めたベジータはとんでもないものを見てしまったとビルス星の寝室で頭を抱える。こんな夢を見るなんて欲求不満なのかと思ったが、自身の性生活に不満などない。むしろ悟空とは顔を合わせるたびに体を重ねているせいで疲弊しているぐらいだ。 しかし、それが原因なのかもしれない。悟空との情事の回数が多すぎるせいで下品な夢を見てしまったのではないかと思うと途端に悟空への恨みが募っていった。
 そういえば夢の中の自分は、とんでもないことを口走っていた気がする。記憶が間違っていなければ、悟空に対して何度も「好き」と口走っていた。それは現実では同胞に向かって口にすることはない、絶対に有り得ない言葉だった。ずっと胸の中に隠し続けて気が付かない振りをしている感情を、表に出すことなど決してあってはならないのだ。だが、久しぶりに聞いた悟空からの好意の言葉に胸が高鳴ったのもまた事実だった。もう忘れてしまおうと夢のことはこれっきりの思い出にするために胸に手を当てて深呼吸をして、記憶を封印していく。