がちゃがちゃ

声が届かない海辺へ

 あれから悟空は、ベジータと顔を合わせる度に身体を重ねていた。悟空から誘うわけではなくベジータから誘ってくるのだから驚いていたが今ではもう慣れてしまった。
 時間があれば一緒に修行をして、腹を満たして、汗を流して、そうこうしている内にベジータがするりと身体を寄せてくるので何も言わずとも悟空は彼を抱いた。それはまるで猫が足にすりすりと体を擦りつけてくる姿のようで、言葉が無くともベジータが求めてくれているのだと思うと心が躍った。
 はじめは、彼の違う顔が見たいだけだった。今では時折甘えるような表情を見せてくるので、その度に激しく抱いた。そこにある感情が何かなどお互い考えていない。もはやそれはセックスではなく交尾のようで、今日も修行を終えた後に岩陰に隠れるようにして背後からベジータを突いていた。
「はァ、ベジータ……」
 名前を呼びながら、どちゅんっ!と強く腰を打ち付ける。もう何度彼のナカで果てたのか分からない。絶頂を繰り返したせいでメスイキしている目の前の男は甘えるような声で喘ぎながら腰を振っている。
「あんッあ、ァあっあ、ひぅっああ、ん!」
「オラのちんぽ、そんなに気持ちいいか……?」
「気持ち、いぃ、んぅ、ぁあ、ァ!あ、ァあっあんッ!」
 彼の先端からとろりと涎を垂らしていることなど構わず、ただすべて注ぎ終えるま抽挿し続ける。強請る様にちんぽを締め付けてくる淫肉に翻弄されて、いつも搾り取られている気がした。
「またイきそう、だ」
「んッひぁ、あっあぅ、ッ!ン、ぁん!もっとぉ、奥に出せ……!」
 びゅるるっ!とたっぷり熱を注いで、萎えたものを抜く。どぷりと溢れる自分の出した欲を見る度にこのままではいけないような気がするのにやめられない。自分が弱さに打ち勝つのはまだ先で良いような気もして、それは見て見ぬふりを続けている。
 セックスが終わると、ベジータは必ずキスを強請って来るようになった。それを拒む理由は無いので、毎回可愛がるように唇を啄んでやる。彼の赤く染まっている頬に触れ、そのまま耳の裏に指を差し込みながら撫でると目を細めて頬をすり寄せてくる姿が好きだった。だけど満足すれば何事もなかったかのように身支度をしてあっさりと帰ってしまう。それに寂しさを覚えることもあれば彼らしいような気もしたので、悟空は咎めることも言及することもなかった。

 * * * * * * *

「ベジータぁ、こんな所にいたんかぁ」
 だだっ広い荒野の真ん中で、特に身体を動かすわけでもなく佇んでいるベジータを見つけた悟空は地面に降り立った。
 最後にベジータを抱いた日から一週間は顔を合わせていない。気まずさがあるわけではないが、会いに行く理由が無かったし、ベジータから会いに来ることもなかったからだ。
 たまたま組手をしたいと思いベジータの気を探るとこちらの方角にいることが分かったので飛んで来たら一人でいたので声をかけただけだ。ベジータは悟空の姿を確認しても何も言わず視線を向けてくるだけだった。いつもの好戦的な目を見ないと彼が彼でない気がして、悟空はベジータの前に回り表情を確認する。
「どうしたんだよ、腹でも痛いんか?」
「……貴様でもあるまいし。オレだって、いつも体を動かすばかりではない」
 溜息をつかれてしまったが構わず会話を続ける。一緒に修行がしたかった旨を伝えればあっさりと承諾され、そのまま二人で組み手を開始した。

 組み手を始めたのは昼下がりの様だった気がしたがいつの間にか辺りは陽が落ちて暗くなっており、お互い体力が尽きかけていたのもあり今日は終いとなった。気が付けば全身泥だらけになっており、ベジータは持参していたらしいカプセルハウスを取り出すと悟空へと振り返った。
「オレはシャワーを浴びてから帰る。貴様も時間があるなら汚れを落としてから帰れ」
 その言葉に甘えて彼の後に続いてカプセルハウスに入る。ベジータは真っ先にシャワールームへと向かったのでついて行き、服を脱ぎ、互いに見慣れた裸の姿となりそのままシャワーを浴びた。湯気が立ち込めて、視界が悪くなっていく。
 ざっと汚れを落としてシャワーを止めるとベジータはその場に跪いた。どうしたのかと声をかける前に悟空の股間へと顔を寄せ、勃ちかけていたため隠す様にしていた陰茎にキスを落とされる。驚いて声をあげると、上目遣いの同胞は笑っている気がした。
「ん、んっ……」
 小さな口にぱくりと咥えられて、じゅぽじゅぽと卑猥な音を立てながら口淫を続ける姿を見つめる。苦しいはずなのにそんな素振りを一切見せず、おいしそうにちんぽを頬張っている。限界が近くなった時に顔を剥がそうとしたが抵抗され、そのまま呆気なく達していまい綺麗な男の口を汚してしまった。溢れたものが顎を伝っていき、それをぺろりと舐めとる姿に再び熱が集まっていく。
「ベジータ、おめえには敵わねえや」
 
 * * * * * * *

 悟空はベジータを抱えるとシャワールームを飛び出し、備え付けのベッドに彼を降ろすとすぐさま押し倒した。
「おめえが、悪いんだからな」
「ふん……そんなこと、どうだっていい」
 シーツに縫い付けるように覆いかぶさって、深く深くキスをする。もう何度目か分からないほど繰り返している行為だというのに、いつも心臓がうるさくてたまらない。溢れる感情は言葉にできないことは分かっているので行動で示すしかない。口から顔を離し、ぴんっといやらしく尖っている生乳首を舌先で転がせば甘ったるい声が聞こえてきた。
「ぁ、ん……!」
 何度も抱くうちに、彼のここは性感帯になったようで触るだけで反応するようになった。もう片方のぷっくりと膨れている突起も指先で摘まめば腰が揺れ始めていて、悟空は自分と同様にベジータも変わってしまったのだなと安堵する。
「あぅ、カカロットぉ……ぁッあ!そこばっかり嫌だ、ぁ……あんっ!」
「なんでだよ、おっぱい気持ちいくせに」
 ちゅう、と強く吸えば腰が跳ねていた。これだけで甘イキを繰り返しており、もじもじと太ももを擦り合わせている。顔をあげて窄みに手を這わせると想像よりも解れており、不思議に思いながら一旦指を抜くとベジータは脚を大きく左右に開き、そのまま淫穴を見せつけるように指で拡げてきた。
「さっき、シャワーの時に慣らしたから……すぐ入る」
 シャワールームでの口淫途中、立ち込める湯気で見えてはいなかったが目の前で痴態を晒していたのかと気が付いて、悟空はいよいよ抑えが効かなくなっていき、上から大きく覆いかぶさる様な体勢になる。
「じゃあ、ベジータが大好きなもん入れてやるから」
「はやく……あ、あァっあん!」
 すぷんっ!と一気に奥まで打ち付けると、途端に仰け反ったベジータはぴゅっぴゅっとトコロテンしていた。震える身体は掴んだまま、何度も何度もピストンしてちんぽを強請る媚肉を擦っては犯していく。
「かかろっと、や、ぁッ!激し……ひぅッ!今イってる、イってるから、ぁ!」
「ああ、ナカびくびくってしてて……オラのちんぽ気持ちいいか?」
「ぁ、んッ気持ちぃ、かかろっとのちんぽで、ずぽずぽってされて、ぇ、ぁッダメだ、あッぁン!またイくっイく!」
 激しく腰を打ち付けると、ベジータからはぴゅるるっ!と熱が放たれていた。連続アクメした身体はくったりとしているがそれでも与えられる快感をすべて享受しようと背に抱き着いてきている。
「何回もこうやって、おめえを抱いて……オラは、これからどうなっちまうんだろうな」
「貴様は、ぁッああ、ぁッ!ん、そうやって、一生オレに縋っていろ……死ぬまで、オレを忘れられない様に……ッ」
 最奥を突いて欲を注ぐと、組み敷いている身体の先端からは最早何も出ず、びくびくと震えているだけだった。顔中にキス落として髪を撫でるとやはり甘えるように頬をすり寄せてきて、それだけで胸の奥が満たされていく。
 だけど、明日は。明後日は。一ヵ月後は、一年先は。
 気まぐれな同胞の未来のことなど分からない。せめて今目の前にある熱だけは逃さぬように、目一杯抱き寄せた。