声が届かない海辺へ
夕陽の差し込まない森の奥まで移動すると大きな崖を見つけたので、陰になっている場所で悟空は再びベジータを抱き寄せた。その時も腕の中の男は少し戸惑った様子ではあるが大人しくており、本当に猫の様だなどと思いながら背を撫でる。
それから丁寧に服を脱がせてやろうとしたのに「自分で脱ぐ」と言ってきかなかったので好きにさせた。彼はプライドの塊の様な男だ、他人に丸裸にされるのは嫌なのだろう。グローブを外し、ブーツを脱ぎ、肉体を強調するようにぴたりと肌に沿う戦闘服を脱いでいく様子に悟空は釘付けになっていた。
「……じろじろ見るな」
小言を漏らしつつも、するすると彼が身に着けているものが剥がれていく。ひとつひとつ地面に落ちていき最後の一枚が脱ぎ捨てられたのを見届けたところで「貴様も脱げ」と顎で指示され、それに従った。じろじろと見すぎたせいかベジータには背を向けられてしまったが、どうせ後でじっくりと見るのだから構わない。
しかし、悟空は脱いでいる途中で我慢が出来なくなった。上半身は裸に、下半身は中度半端にはだけた状態でこちらに背を向けているベジータを背後から抱きしめる。彼の形のいい双丘の奥へそそり立ったモノを押し付ける様にすると腕の中で震えていた。怯えているのか、肩越しに振り返ったベジータの目が揺らいでいる気がして柔らかそうな頬にキスを落とす。流石にいきなりはキツいかと思い、自分よりも小さな体には岩壁に手をつかせた。少し浮いた腰に手を添えて、唾液を纏った指を窄みへと這わせる。きゅっと閉じている箇所を抉じ開けるように解していけば、同胞は苦しそうに息を吐いた。
「つらかったら言えよ」
言ってから、平気なわけが無いだろうなと苦笑した。ベジータがあまりにも何も言わないものだから、勝手に大丈夫なのだと思い込んでいた。
そう言えば、彼のいろんな顔が見たくて始めた行為なのに背を向けさせてしまった。どうにかできないかと思いつつも手は止まらず、肉壁を拡げながらずぷり……と押し入っていく指を曲げてみる。
すると、「あっ」と小さな声が聞こえた。本能的にここがイイのだなと分かり、そこばかりを擦る様に触れていく。びくんっと小さく跳ねる腰を撫で落ち着かせようとするが、どうやらそれは無意味だったらしい。ベジータは恨めしそうにこちらへ振り返るとぱくぱくと口を動かし何かを言おうとしていた。恐らく「馬鹿」だとか「くそったれ」だとかその類の言葉だとは思うが、聞こえていないので構わない。ナカを探る指を増やしていくと、彼は弱々しく首を振った。
「か、かろっと……も、いいから……ッ!」
その言葉には従わず、思うがままに指を動かしていく。コリコリと彼が善がる箇所を引っ掻けば徐々に汗ばむ身体は乱れていき、互いの息が熱くなっていった。
「や、ァあっあ、あア、ん……」
同胞からは普段よりも高い声が溢れていて、悟空はごくりと生唾を呑む。指を抜き、涎を垂らしている陰茎の先端を押し付ければベジータが頷いた気がして、一気に奥へと押し込んだ。
「あッああ!あ、ぅ……」
我を忘れそうになっている悟空は目の前の腰を掴むと荒々しく抽挿し始めた。耳に入る嬌声に胸の奥が熱くなる。それが余計に頭を狂わせていくようで、何度も何度も腰を打ち付けた。
「ああ、すごいな……ッこんなの、おめえ相手じゃ、なきゃ……!」
ずぷんっと最奥へ押し込むとカリが結腸口を引っ掻いて、ベジータは一際高い声をあげた。そして強請る様に自ら腰を揺らし始め、媚肉で咥えてる悟空の怒張を締め付ける。ばちゅんっばちゅんっと肉がぶつかる音が静かな森の奥で響いて、悟空は何もかもが分からなくなりそうになった。
「駄目だベジータ、おら、もう」
「いい、いいからァ、あっあん!は、ァ……、イけ、はやく……イっちまえ……ッ!」
どぷんっと熱が弾けた感覚があり、悟空は彼のナカで達してしまったのだと理解した。ベジータを見れば彼の先端からもぴゅるっと吐き出されているのが見えて、愛おしさに背中にキスをする。
戦闘とセックスの興奮は違うものではあるが、終わった後のこの感覚は似ている気がする。戦闘中の彼の顔はよく見ているが、今、彼はどんな顔をしているのか。はやく、はやく見てみたい。
「はぁ……ッ。なあベジータ、顔見せてくれ」
陰茎を抜くと先程注いだばかりのものが溢れ、ベジータの太ももを伝っていった。それが今し方終えた行為を更にリアルにさせて、悟空は再び熱が集まって来る感覚に戸惑う。では、ベジータは。気が急いてしまい、ゆるやかに上下している肩を掴んでくるりと身体をこちらへと向けさせると、耳まで真っ赤になった男が現れた。いつもの吊り上がった眉は少し下がっており、潤んだ目でこちらを見つめている。正面の姿を見て悟空のモノと同様に彼も興奮しているのだと分かり、良かった、などと安堵してしまう。
「ベジータ、オラは……」
ベジータは悟空の手を払うとその肩を押し、バランスを崩して尻もちをついた身体に素早く乗っかった。中途半端に脱げていた服を全て剥がして再び硬くなっている悟空のペニスに触れたかと思えば、腰を浮かせて自ら後孔に押し込もうとしている。戸惑う悟空を見たベジータの頬は緩み、楽しそうに腰をゆっくりと落としていった。
「随分、好き勝手にしてくれやがって……オレにも、楽しませろ……ッ」
すべて飲み込まれると同時に絞る様に締め付けられて、悟空は対面でこちらに跨っている男の背を撫でた。すると相手も抱き着いて来たので首元に顔を寄せる。懐かしいようなにおいがした気がして、もっと全身で感じるように首に噛みついた。嫌がられはしなかったので今度は豊満な胸筋を両手いっぱいに揉むと、先程よりもナカの締め付けがきつくなった。ここに触られるのは嫌ではないのかと思って揉みしだいていると指先に突起が触れ、そこを指の腹で撫でてみると善がる声が聞こえて気分が良くなる。
「あ、ぅ……かかろっとぉ……」
もにゅ、と胸を揉みながら指先でコリコリと乳首を擦ると小柄な身体はびくびくと震えていた。もじもじとベジータが腰を揺らすので途端に突き上げたい衝動に駆られてしまう。悟空は同胞の胸から手を離すとその腰を掴み、激しく上下させはじめた。
「あッあんっあぅ、あッ!ぁッん、そこっだめだァ、あアぁ、深い……ッ!」
「ん、すげぇうねってる」
ばちゅんっと音が響くたびに強く締め付けられて、悟空はベジータの顔を見る。今にも泣きだしそうな、苦しそうな、だけど欲にまみれたような、好敵手の劣情を含んだ視線を感じて心臓が跳ねた気がした。この気持ちの理由も行き先も分からないが、ただ今は、目の前の男を自分だけのものにしたかった。
「ベジータん中、だめだぁ……ちんぽ溶けそうになっちまう」
「や、ぅ……んンっ!イくっちんぽでイくからぁ、ぁんッ!お前も……はやく……ッ!」
背に爪を立てられた瞬間、自分の中の熱が抜けていった。注がれている男はうっとりを目を細めながら肩で息をしながら顔を寄せてキスを強請ってきたので希望通りにそれを重ねる。悟空は腹にかかった欲に幸福を感じて、これは一体どうしたことかと迷いながらも、ただただ離れがたい体温を抱きしめていた。