イキノネ
「あれ、悟空さん一人に戻っちゃったんですか?」
次の日、朝食の準備をしている最中に一人に戻った悟空を見たウイスは怪訝そうにその姿を観察していた。
「そ、そうなんだよー。今朝起きたら一人に戻っちまっててさ。あはは……」
下手くそな嘘をつきながら悟空が後ろ頭をがしがしと掻いている。その様子を見たベジータはそっぽを向き、なんとか自分に話しかけられない様に普段通りを装った。
「そうですか。ま、いいですけど。それにしても……つまり、昨夜はとてもはりきってしまったんですねぇ」
「……は?」
思わず声を出してしまったベジータは目を細めているウイスを見て「しまった」と思ったが既に遅い。どこまでを知っているのかは分からないが「すべてお見通しだぞ」とでも言いたそうな天使の目は、確かにベジータを射抜いている。
「説明したではありませんか、ある程度の力を使ってしまえば勝手に一人に戻る……と。ある程度と言っても修行の為に行った事ですから一晩寝たぐらいでは一人に戻りません。と、いうことは……」
くるりと振り返ったウイスが悟空とベジータを交互に見る。そしてコホンと咳ばらいをすると、キッチンの出口をまっすぐ指さした。
「どうせ寝室はぐちゃぐちゃのままなんでしょう?ここはいいので、先にそちらを片付けて来てください」
にこりと微笑む天使の笑顔は冷たい。背筋が凍りそうになるのを堪えながら、サイヤ人達はキッチンを後にした。
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