それは日差しが強く、少しばかり暑い日だった。
カミュと共に行動するようになって、イレブンは何事も以前よりも慎重に行うようになった。
それもそのはずだった。勇者だなんだと呼ばれたかと思ったら突然地下牢に入れられて、近いうちに殺されるかもしれないところだった。
外の人間をそう簡単に信用してはいけなかったのだ。たとえ人間の発した言葉だとしても信じてはいけないのだと、胸に刻んだ。
だけれど奇跡的にカミュという男に助けられ、盗賊だと言う彼の言葉から旅の心得を学んでいった。宝箱だってすぐに開けてはいけないし、食べ物にも気を付けなければならない。生きていくということはこんなにも大変なのかとイレブンは痛感していた。
イレブンとカミュはナプガーナ密林に辿り着くと、運良く女神の像の佇むキャンプ地を発見した。もう日が暮れかけていていたので今日はここで一泊しようとカミュが提案し、イレブンもそれに頷く。
カミュが火を起こす準備をはじめたのでイレブンも火種になりそうな木を集めようとキャンプ地から少し離れた場所へ向かった。すると視界の端できらりと光るものが目に入り、視線はそれに捕らわれてしまった。
(なんだろう)
草木をかけ分けると、隠されるように置かれている小ぶりの宝箱が見つかった。特に目立った装飾は無く、なんてことはない平凡な宝箱だった。
普段なら、一人の時に宝箱を空けるなんてことはしない。罠かもしれないからだ。これもイレブンがカミュから学んだことの1つだ。
だがしかし、こんなにもキャンプ地に近い場所へ置かれている宝箱だ。何を怪しむ必要があるのだろう。イレブンの頭の中は、宝箱の中身のことでいっぱいになっていた。
導かれるように蓋の留め具に手を伸ばし、蓋が空きかけたその瞬間、背後から人の気配がした。
「———離れろ、イレブン!」
カミュが勢いよくイレブンに覆いかぶさると、宝箱の中から怪し気なピンク色の煙がもくもくと溢れだした。
そしていつの間にか、はっきりとしていたはずの視界はぼやけていき、イレブンは呆気なく意識を手放してしまった。
* * * * * * * * * *
次に目が覚めた時は、見覚えのある天井が視界に広がった。体を起こし場所を確認すると、ここはナプガーナ密林のキャンプ地の近くにあった山小屋だった。そして自分はいつの間にかベッドに運ばれていたようだ。
この山小屋は誰か人が住んでいないかと確認した時に一瞬立ち寄った程度だが、やたらと記憶に残っている。結局誰も見つからなかったのですぐに後にしたはずだが、どうしてこんなところに……。
「気が付いたか」
カミュの声が聞こえ、イレブンは慌てて顔をそちらへ向けた。
山小屋のもう1つ並んで配置されているベッドに腰かけているカミュは、こちらに背を向けている。顔は見えないがイレブンはカミュに向かって頭を下げた。
「カミュ、君がここまで運んでくれたんだよね。ごめん、考えなしに宝箱なんか開けて……」
「ああ、まあ……」
どうにも歯切れの悪いカミュを不思議に思いつつ、イレブンは言葉を続けた。
「変な煙が出て来てたけど、カミュは大丈夫? 僕はなんともないけど、もし毒だったら――」
「それのことで、話がある」
カミュはベッドの上でもぞもぞ動いたかと思うと、突然シーツを手に取りケープのように羽織ると体をこちらに向けた。
「今から何を見ても、驚かないで欲しい」
「え――」
勇者の頭に悪い想像ばかりが立ち込める。もしかして、体に大きな傷でも作ってしまったのだろうか。もしくは、痣ができてしまったのか。
自分があの宝箱を空けてしまったせいで、という気持ちが先走り、イレブンが先程よりも深く深く頭を下げた。
「ごめん、何があっても驚かないし、カミュに起こったことは僕が責任を取るから!」
「あ、ああ……責任ってお前……」
顔を上げると、カミュの鋭い視線が勇者を貫いた。
「責任を取るかどうかは、もう一度よく考えて決めろよ」
その言葉の意味が分からず黙って頷くと、カミュが羽織っていたシーツをゆっくりと降ろしていく。
そのスローモーションのような光景を眺めながら、イレブンは訝しんでいた。カミュは細身ではあるがこんなにも華奢であっただろうか――と。肩幅もそうだが、首なんか特に……などと考えている内にイレブンは衝撃的な出来事に何度も何度も瞬きを繰り返した。
「か、カミュ。それって」
「頼むから大声だけは上げてくれるなよ……」
カミュの普段から開けている薄い胸板は、今は普段とは全く違い大きく丸みを帯びている。腰のラインも以前よりも細く、引き締まってはいるがそれよりも曲線が目立っている。
そしてイレブンの視線の先は、たわわという表現がよく似合う、2つのそれに釘付けになっていた。
「――カミュ、女の子になっちゃったんだ」
* * * * * * * * * *
イレブンは先程から恥ずかしそうに俯いてしまっている彼(と今は言って良いのかは分からない)の傍に寄り、隣に腰を降ろす。カミュが顔を上げてイレブンを不安そうに見上げた。そうなってしまうのも仕方がない。突然自分の身体が異性になってしまったのだから。
何かを言いたげなカミュを落ち着かせようと、1回り程小さくなってしまったカミュを出来るだけ優しく抱き寄せた。思ったよりもすっぽりと腕の中に収まってしまい、どうにも調子が狂う。
そして、子どもの頃に泣いている自分に母親はよくこうやってあやしてくれたのを思い出す。だからこれはカミュの為を思っての行動だった。下心なんて一切ない。……ない、はずなのだが。
むにゅ、と効果音がつきそうなほど柔らかいものが服越しに当たる。それが何かだなんて想像に容易い。「これはまずい」と思い彼から体を離すと、少し下を見るだけで視線を奪う魅惑的な谷があった。
いつもは緩めに見える彼の胸元を飾る紐が左右へ引っ張られ苦しそうに張っており、少し胸に食い込んでいる。更に膨らみの大きさに負け開けてしまった箇所から、ほんのり色づいた胸の先が少しだけ覗いていた。
別に『そこ』を見ようとしているのではない。カミュの顔を見ようとすると勝手に視界に入って来るのだ。なので不可抗力だと自分に言い聞かせ、心の中でカミュに謝った。だけれど気が付かない内に、指なんかすっぽり埋まってしまうんじゃないかと思える程の柔らかそうな谷間を凝視してしまっていたらしく、カミュに両目を塞がれた。
「おい、そんなじろじろ見んな」
「ご、ごめん……だけど、そんなにおっぱい見せつけられたら見ちゃうよ」
「見せつけてねぇ!そんでおっぱいとか言うな!」
自分も言ってるじゃん、なんて言い返せるわけがなかった。カミュがこうなってしまったのは自分のせいなのだから。それに一歩間違えれば、この出来事の被害者は逆であったかもしれない。
視界が明るくなったかと思えば、カミュは胸元を両手で覆い隠してしまっていた。自分の行動を考えれば当然であった。
「こういうの、呪いって言うのかな。僕そういうの疎くて……やっぱり教会で解除してもらうしか……」
「いや、これは教会じゃ無理だ」
そういうものなのかとイレブンは黙って彼の話に耳を傾ける。カミュは旅の知識が豊富だから、呪いにかかっているのに思ったよりも落ち着いているのはきっと解決策を知っているからなのだろう。
「それじゃあ、どうやって治すの?」
「…………、……だよ」
「え?」
ぼそぼそと口元を動かすカミュの言葉がまったく聞き取れず、つい間抜けな返事をしてしまった。
よく聞こえないと言わんばかりに首を傾げると、カミュは眉を寄せて顔を赤くする。
「~~~――だから、するんだよ!オレが、その……男、と」
「カミュが、男の人……と、何をするの?」
「あー、だから……!」
カミュは俯くとがしがしを頭を掻く。その拍子に胸元の谷間が露わになり大きく揺れた。しかし、今はそこを見ている場合ではない。
静かな部屋の中で、カミュは再び口を開ける。そして、ぼそりと呟いた言葉にイレブンは目を丸くした。
セックス。今、カミュは確かにそう言った。
カミュが?誰と?男と?どこの?勇者はすっかり混乱してしまっている。
「そうしなきゃ元の体には戻れねえ。大っぴらにはなってないが一時期話題になった呪いだ……まさか自分がかかることになるとは思わなかったが」
1回するだけで良いから解除自体は楽だなんて言っているが、そういう問題ではないだろう。そもそも、誰とするつもりなのか。
「まあ、そういうわけだから。お前さっき責任取るとかなんとか言ってたけど無理しなくていいぜ。どっかの街で適当な相手見つけて……」
「――駄目に決まってるだろ!!」
思ったよりも大きな声が出てしまった。目の前のカミュも驚いたようで、黙ってしまっている。
いつの間にか夜も更けており、カミュは月明りに照らされていた。その姿を綺麗だと思うと同時に、どこの誰かも分からない男に彼を触らせたくないと膝の上で拳を握った。
「カミュ、僕は自分の言ったことは守りたい」
「守るって、どうするんだよ」
「僕が責任を取るって言っただろ。それに、全然嫌でも無理してるわけでもないんだ」
言えば、カミュはあからさまに動揺していた。
そして躊躇いながらも口を開け「お前が、いいなら……」と呟いた。
「いいよ、いいに決まってる。誰かに君を渡したくない。……変、かな」
思わず言葉尻が小さくなる。イレブンの言葉に、カミュは困ったように笑った。
「ああ、変だよ。勇者様は」
* * * * * * * * * *
つい見慣れない女性の姿に動揺してしまってはいたが、こうなる前からイレブンはカミュのことを意識していた。
最初は命を救ってもらったことと頼りがいがある男性であることから信頼の気持ちと友情だと思っていた。だけど、胸の内の想いは日に日に強くなっていった。性別なんて関係かったのかもしれない。
出会ってまだ数日だと言うのに、これが一目惚れというものなのだろうか。なんて、まだ素性を良く分かっていない人間に対して感じることはおかしなことだと自覚はしていた。
そして起こったこの事件。自分から彼の呪いを解く役割を名乗り出た時、彼から否定されたらどうしようかと気が気ではなかった。もしそうなっていたら、この先立ち直れなかった自信がある。
なので、こういった状況の中で仕方がないとは言えカミュに受け入れてもらえたのは正直とても嬉しい。下心交じりで申し訳ない気持ちもあるが、この気持ちは明かすつもりもなかったので一度きりの思い出として留めておこうと思う。
とは言え、いきなりのことで薄暗い部屋の中でどうすれば良いのか分からない。そう言った知識がまったく無いわけではないし故郷の村では稀に例の類の本が出回ることがあったので、ある程度のことは理解している。だけれど、経験なんてあるわけもないので戸惑ってしまう。
イレブンがすっかり固まってしまっていると、カミュは呆れたようにイレブンの手を握った。指先からお互いの緊張が伝わり、気恥ずかしさに生唾を飲む。
「ほら、好きにしていいから」
カミュに握られた手が、ゆっくりと彼の胸元へと導かれる。
触れた先が、ふに……と指に吸い付く。服の上からこれなのだから、直に触ったらどうなるか……と想像して顔が赤くなった。
「お前どうせ女の体なんか見たことないんだろ。勉強だと思って思うようにやってみろ」
少し馬鹿にするように言ってきたのは、こちらを挑発して緊張を解す為だろう。カミュらしい指導っぷりに、イレブンは素直に乗ることにした。
なるべく痛くならないように気を付けながら、手の平に収まらない膨らみを服の上から揉んでいく。先程少し触れた時よりもずっと柔らかくて、動かすたびに反動で揺れている。
丁寧に触れていると、カミュが片手を伸ばしてきてイレブンの髪をかき上げ耳にかけた。
どうしたのかと視線を送ると、優しく微笑んだかと思えばゆっくりと顔を近づけてきて、そのまま彼の唇が触れた。
(カミュとキス、しちゃった……)
啄むような軽いキスを繰り返しながら、彼の胸に触れる。すると手の平につんと硬いものが触れ、そこを刺激するように少し強く揉んだ。
「ん、んッ」
気が付いていないのか、カミュから甘い声が漏れている。自然と逃げようとしている腰を抱えて体をより近づけると、彼が舌を入れてきた。にゅるりと入り込んできた舌を絡ませていると息が荒くなり互いの呼吸が乱れてくる。気持ちがいいのか、カミュはイレブンに腕をまわして必死にしがみついている。
可愛いと言えば怒られてしまいそうだが、彼の可愛いところをもっとたくさん見てみたい。胸を揉んでいた手を一度離し、膨らんだ先端を摘まむと彼から「ひゃ」と高い声が上がった。
「あっそこ、だめ、ぇ」
「でも気持ちよさそうだから」
制止の声は聞かず先端を摘まんだり弾いたりを繰り返すと、その度にカミュは嬌声を上げる。逃げようとしている体を引き寄せて深く口づけると、カミュはびくびくと体を震わせていた。
「は、ぁ……いれ、ぶん」
顔を離すと、カミュが潤んだ瞳でこちらを見上げていた。荒い呼吸のままぼんやりとしており、彼も気持ちよかったのかと胸を撫でおろす。
イレブンはカミュを背中から抱きしめる体制になるよう移動して、彼の両脇から手を差し込んだ。
この体勢になると仕方が無いのだが、どうしてもカミュのお尻辺りに硬くなった自身が触れてしまう。違和感を覚えた彼は肩越しに「おい……」と視線を送って来る。仕方がないじゃないか、男なんだから。
一度気を反らす為に彼の胸元の紐をゆっくりと引き抜く。紐が抜けきると勢いでぷるんっと乳房が溢れ、それを支えるように揉み始めた。
「あ、ちょっとま、て……っ」
「待ってたらいつまでのこの体のままじゃないか」
ぐ、とカミュが言い淀む。彼が黙っているのを良いことに露わになった胸を揉んだり乳首を摘まんでいると、またカミュが腕の中で震えていた。
もしかしてと思いつつ、ある考えが頭の中をよぎる。
「カミュ、おっぱいだけてイってる……?」
つい、思ったことが口に出てしまった。案の定、はっとしたカミュは反論してきた。
「んなわけ、ねぇだ、ろ……ぁっ、や、ん!」
すっかりピンと立った桃色の乳首をコリコリと引っ掻くように刺激してやれば、途端にカミュは喋れなくなってしまった。やっぱり弱いんじゃないか。
「そこ、ばっかり、あ、ン!やめ、や、ぁっん、あッあ」
指に吸い付く乳房を揉みながら、片方の手を下へ降ろしていく。
もじもじと擦る様に動かしている彼の太ももの間に滑り込ませ、その中心を撫でる。当たり前と言えばそうなのだが、やっぱりここにあったはずのものは無くなっているのだと再確認した。
撫でていると次第に指先にぬるりとしたものが触れ、イレブンは彼の服に手をかけた。
「カミュ、下脱いで」
「なん、で……」
「これ以上汚れたら困るでしょ」
自分の状態を理解しているのか、カミュは大人しく下半身に身に着けていたものを下着ごと脱いでいった。
カミュをベッドに仰向けに寝かせて、再び彼の白い太ももに触れる。何にも覆われていないそこに指を這わせる為に足を広げさせると、彼はすっかり体を硬くしてしまっていた。
緊張を解す様に優しく軽いキスをして、当然ではあるが誰も受け入れたことが無くぴっちりと閉じられている箇所へ触れる。撫でるように触れて指を離すと、透明の糸が伝った。
「すごい、もうこんなにヌルヌルになってる」
「いちいち言うな、そんなこと……」
「だって、カミュがすごいえっちだから」
言えばそっぽを向かれてしまった。彼がどうしようとやることは変わらないので、すっかり濡れて準備が出来ているそこに、ゆっくりと指を入れていく。
「ん、ぁ……ぁ、あ」
「痛かったらちゃんと言ってね」
ぐちゅぐちゅと音を立てながら柔らかい肉壁を広げるように指を動かす。少しざらざらした箇所に触れ、いつしか例の本で見た知識を呼び起こした。
(女の人って、ここが気持ちいいんだっけ)
二本、三本と指を増やしながら本の知識を活かし一点を狙って触れていると、カミュの腰がゆるゆると動き始めた。
「やだ、そこっ変、ァっあぁっあん、ぁ、!いれぶん、や、らぁっあ、ん」
嫌だと言いつつしっかり腰が動いているのを見ているので「嫌じゃないでしょ」と返す。嬌声を上げ続けるカミュは、イレブンにとって目に毒でしかない。指を動かすたびに気持ちよさそうに善がるものだから、もっと乱れた姿が見たくなった。
ナカを探りながら、控えめに主張する小ぶりな肉芽にも触れていく。擦る様に撫でるとナカが収縮し始めた。カミュはシーツを掴み、必死に快感に耐えている。ぬちゅぬちゅと卑猥な音が立つ室内ですっかり乱れきっていた。
濃いピンクに染まっている肉芽を指の腹でより強く擦ると、カミュの体はびくびくと大きく震えた。
「ぁ、あッあん、ァ!や、だめ、だめ、ぇ!」
その瞬間、ぷしゃぷしゃと透明の液体がイレブンの手を覆った。これも本で得た知識ではあるが、この状態のことは知っている。
カミュを見ると、恥ずかしさからなのか両手で顔を覆っていた。
もしかしたら、カミュは気持ちのいいことが好きなのかもしれない。
イレブンはの考えに至った瞬間にはベッドに手をつき、彼の秘所は探りつつ服から溢れている乳房へ顔を寄せた。
今すぐ触って欲しいとでも言いたそうに硬く立ち上がった乳首をぺろりと舐めると、息を荒くしたカミュの体がぶるりと震える。
「ひぁ、あ!」
はっきりと形が分かる程に乳輪からぷくりと膨らみ色付いた突起を舌で転がす。時折吸ったり舐めたりを繰り返し、吸い付く度によりピンと上を向き腰が揺れていく。
「ここ、好き?」
「あっん、すき、そこっあ、んぁっあ、ん!きもち、いい、あっぁン!もっと、もっと、ぉ」
イレブンが強く吸うと、もっと、と強請る様にカミュが喘ぐ。先端をコリコリと弾くように舌の先を動かせば、指が入ったままの彼のナカはもうとろとろになっていた。
何度も軽イキを繰り返しているカミュのことを考え、イレブンは一度彼から体を離した。
「いれぶん……?」
不思議そうに見上げてくるカミュに罪悪感を抱きつつ、イレブンは自分の服を降ろしもうずっと前から勃ち上がっているものを取り出す。
それを見たカミュはぎょっとしたのか、大きく目を見開き口をぱくぱくとさせていた。
「お、お前。それ、は」
「ごめんね、こうしないとカミュは男に戻れないし、一回だけ……だから」
自分のものが他人よりも少しばかり大きいことは、村にいた時に散々弄られたので知っている。なのでカミュのこの反応も理解できる。今からこれが自分の中に入って来るのだと思うと、ぞっとするのだろう。
だけどもうお互い我慢の限界ではあるだろう。屹立をカミュの入口へ這わせると、くちゅ……と音が響いた。
「……いれるね」
カミュが頷いたのを確認して、ずぷずぷと奥へと挿入していく。柔らかい壁に圧迫されすぐに達してしまいそうになったが、必死に我慢する。
「あ、あ……」
カミュが苦しそうに体を捩る。大丈夫だからと髪を撫でると、少し体から力が抜けたのが分かった。
彼の細い腰を掴みゆっくり進んでいくと、彼が両手を伸ばしてきた。
「なぁ、イレブン」
どうしたの。そう返すと、カミュは柔らかく微笑んだ。
「優しく扱わなくていいから。もっと、お前の好きに動いていい……」
「で、も……そうすると、カミュがつらいだろ」
そう言ってくれるのは、カミュの優しさなのだと分かる。
だけど、どちらも男女の行為としては初めてなのだ。そう簡単に「そうですか」と欲望のまま動けるわけがなかった。
どうしたものかと動きを止めていると、カミュが伸ばした両手でイレブンを抱き寄せ、額にキスをした。
「おれさぁ、もっとお前が欲しくなった」
その言葉がトリガーだったに違いない。イレブンはカミュの腰を抱えなおすと、何度もピストンを繰り返していた。
互いの肉がぶつかりパンパンと音が響き、あとはカミュの嬌声で室内は満ちていった。
「あっあん、いれぶんっ、!もっと奥に、ぃ、あっン、ぁん!」
「カミュ、全部あげるね、ぜんぶ、ぜんぶ」
最奥を貫くように腰を打ち付け、自身の先端が子宮口に触れていることに気が付いた。
きゅうきゅうとナカで締め付けられ、限界が近いことが分かる。イレブンはカミュの腰を抱えなおし覆いかぶさる様な体勢になると、奥に向かって更に深く貫いた。
「は、あっイレブ、ンっそれっやば、い」
「ん、僕も、もう」
これ以上はまずいと思い腰を抜こうとするが、カミュの足が腰に絡みつき離れられなくなった。
「ナカに出して、いい、からァっあ、ァ!もっと、きて、ぁッあ」
「かみゅ、ぁ、!」
全て搾り取ろうとするかのようにきゅうきゅうとカミュのナカがうねる。
「んぁ、あんっあ!いれぶ、ん、ぁんッあ、ァっあっあ」
どくどくと彼の中に自分の熱が流れていくのが分かる。まるで一滴も逃すまいとするようにカミュの足はびくびくと震えながらもがっしりと絡みついたままで、ナカで達したイレブンはそのままびゅるびゅると吐き出した。
「は、あ――からだ、どのくらいで戻るのかな」
イレブンがカミュと繋がったまま訊くと、息を整えながらカミュが口を開けた。
「オレが聞いた話じゃ、24時間後って……」
「けっこうかかるんだね」
言いながら今度こそ腰を引くと、自分の出したものがカミュの中から溢れだしてきた。
「ごめん、中に出しちゃって……」
「いいって、俺から言ったし。どうせ男に戻るんだから大丈夫だろ」
そういうものなのだろうかと疑問に思っていると、カミュがにやりと微笑んだのが見えた。
「だから――」
カミュは突然イレブンを押し倒すと馬乗りになり、先程まで繋がっていた萎えたモノを手で擦っていく。先程満足したくせにすぐさま硬くなるイレブンの姿を見て、カミュは面白そうに喉を鳴らした。
「元気いっぱいの勇者様、もうちょっと楽しもうぜ?」
カミュは、やっぱり気持ちのいいことが好きなんだ――。
自分の予想が外れていないことを確信して、イレブンは黙って頷いた。