いつか雨宿りに使った横穴に移動し、悟空はベジータを組み敷いていた。見下ろした顔からは感情が読み取れないが、とりあえず逃げ出そうとする気配は無さそうだ。
ベジータの来ていた戦闘服はアンダーウェアがセパレートタイプのものだったので悟空はそれを上を少し捲り、現れた突起に夢中で吸い付いた。
「ん、ぁっあ……」
声を抑えつつも溢れている声が響きしっかりと耳に届く。普段よりも高い声はひどく官能的だったが、それを口にすればもう声を聞かせてくれない気がしたので黙っておくことにした。
優しく揉み込むようにベジータの胸を両手で触ると、外気に晒された乳首はぴんと上を向いて薄く色づく。少し大きめなそれに、悟空は興奮を隠しきれなかった。舌で突起を転がすたびに自分よりも一回り小さな身体はびくびくと震え、服の裾を掴んでくる。もう片方の突起も指で弾くように弄れば、髪を強く引っ張られた。
「い、いでで!気持ち良くしてやってんだろ、うが!」
「黙れ、だまれ……くそっこんな、オレが、こんな」
髪を引っ張る手は解かれ、悟空は再び舌を動かして丹念にぷくりと膨れた乳輪を舐める。胸だけでこれじゃあ、この先どうなってしまうのだろう。そもそも、男同士でやるのがはじめてだ。ベジータもそうだろうか。もし違ったらと想像するだけで、胸の奥がモヤモヤとしていった。
胸に吸い付きながら、片手を下へ下へと下ろしていく。触れるだけではっきりと分かる程に反応している太ももの間に手を這わると、ベジータは身を捩った。お構いなしにアンダーウェアを降ろすと、ぷるんと小振りのペニスが顔を出した。昨日ベジータが悟空のモノを「無駄にでかい」と形容していた意味が分かった気がする。
「あー、なんかお前の可愛いサイズだな」
「うるせぇ!貴様のがでかいんだ貴様のが!」
気にしているのか、途端に声のボリュームが上がった。そんなところも可愛いけどな、とはとても言える雰囲気ではない。胸を弄りながら片手でペニスを扱くと、反応が先程よりも好くなった。
「あ、ぁっう、ん」
「はぁ、……ほら、気持ちいいだろ?」
喘ぎながら首を振るが、身体はしっかりと反応しているので嘘なのは明白だ。くちゅくちゅと音を立てながら先を刺激すると、ぴゅるっと吐き出された白濁がベジータの腹にかかった。
天井を見上げたままとろんとした表情のヘジータを見て、悟空は生唾を飲む。
「その顔、好きだな」
好き。自分の口から出た言葉に驚いてしまった。ベジータのことが好きなのだろうか。分からない、何も、分からない。
はっきりしているのは、今目の前で欲情している同胞を自分のものにしたい。ただ、それだけだった。
悟空はベジータの服を全部脱がせると大きく脚を開かせ、その中心に指を這わせた。くにくにと入口を広げ、肉壁を押しナカを探っていく。
この状態でもベジータが想像より大人しいことに違和感を覚えるが、抵抗されると面倒なのでこのまま行為に及ぶことにした。
「カカロット、かかろっと……」
うわ言のようにベジータが悟空の名前を呼ぶ。それに応えるようにキスを落とすと、ベジータはくすぐったそうに目を細めた。
指を突っ込まれている違和感を紛らわす為か、悟空の背に回されている手は必死に爪を立てている。痛みなんてどうってことない。むしろそれだけ反応があるということだ。悟空は自身の昂りをどこまで抑えきれるか分からず、はは……と渇いた笑みを浮かべた。
ベジータの反応が好い場所を見つけ、そこを目掛けて何度も指で擦る。太い指を数本呑み込んでいるそこはひくひくと疼いており、悟空は行為に夢中になっていた。
「ここ、気持ちいいか?」
「ッん、あっあぅ、きもち、いい……」
やけに素直な反応に悟空は驚く。一体どうしたことか。見れば、ベジータの腰が揺れている。そうか、と、ある一つの可能性を考えて悟空は胸が躍るのを感じた。
「ベジータ、お前さぁ。オラのこと大好きなんだな」
そうであれば良いと願いを込めて放った言葉だった。だか、そうでないとベジータの行動に不可解な点が多すぎるのだ。思えば昨日の口淫だってそうだ。いくら自分のためとはいえ普通は他人にそこまでの行為はできないだろう。
きっと殴られるか怒鳴られるかするのだろうなと思っていたが、見下ろしたベジータは顔を真っ赤にしてわなわなと震えているだけで、何も言い返しては来ない。
「あ、あのさ、ベジータ……」
様子のおかしい同胞に声をかけた瞬間、彼は火がついたように騒ぎ始めた。
「――――ああ、そうだ!何が悪い!オレは、ッお前に生かされた日からずっと貴様を追い続けていたのに!貴様は振り返らなかった!オレのことなんか、これっぽっちも見ようとしなかった!だが今、貴様がオレを欲して抱こうとしている……こんな形でもオレは勝てた気でいる、こんなことになって喜んでいる惨めな自分がいたんだ!一生の恥だ!笑いたければ笑えばいい!」
涙こそ出ていないが、今にも泣きだしそうな程ベジータの顔はいろんな感情でぐちゃぐちゃだった。落ち着かせたくてキスをしようとするが手で塞がれ拒まれてしまう。
「貴様は、同じサイヤ人のオレに惹かれているだけだ……オレ自身に興味があるわけじゃない。妻との行為が出来なくなってオレで発散しているんだ、迷い事はよせ」
すべて言い終えたのか、ベジータはすっかり黙ってしまった。悟空がベジータの頬を撫でると少し荒かった気が柔らかくなり安堵する。
「悪いベジータ、冗談みたいに言っちまって。……でもさぁ、オラ、まだお前に言ってないことがあって」
悟空は自身の張り詰めたペニスを持つと先端を解れてきた後孔に押し付けた。ベジータの身体に緊張が走ったのが分かり、悟空は「大丈夫」と囁く。するとベジータが頷いたので、想像していたよりも細い腰を掴みそのまま一気にナカへと押し込んだ。
「ッあ、ん、うぁっあ!」
「ずーっとオラのこと、ッ追いかけてくれて、たんだな」
「くそ、くそっ、ッんぁ、オレがッ貴様を、殺すんだッ、あ、だれにも渡すもん、かぁ……」
嬌声を上げるベジータに悟空は腰を打ち付ける。挿注を繰り返し奥までずぷんっと入った時に、ひと際高い声が響いた。通常よりは多い質量を咥えているそこは絶対放すまいととでも言う様にきゅうきゅうとペニスを締めつけ、悟空はより奥へと押し込むように腰を押し当てた。
「ナカで、うねってるな……ベジータ、もう、出ちまいそうだ」
ばちゅばちゅと肌がぶつかる音が広がり、次第に激しくなっていく。
「んなことッいちいち、ッ言うな、ぁっん、あ、あん、ぁ!」
「ああ、お前のそういうところが安心すんのかもな」
ぐい、と腰を抱えなおすとベジータが慌てたように悟空の背を引っ掻いた。
「あっぁッそこ、あ、や、だめ、だ……!」
「ん、ここなんだな」
「ちが、ぅ、あっあん、あっ!かかろ、っと、ダメ、だぁッそこ、ぁっん、ん!」
腰を突き入れる律動を繰り返し、悟空もベジータを上からぎゅうと抱えるように覆いかぶさった。
するとベジータの身体がびくびくと跳ね、それと同時に悟空も彼のナカで達していた。
「なぁ、ベジータ」
悟空に抱えられ胸に顔を埋めたまま、ベジータは身じろいだ。
「ずっとオラを見ていてくれよ。例えお前の方が強くなったとしても。そうすれば何があっても、きっと――」
その言葉の先は、ベジータによって塞がれてしまった。悟空はゆっくりと目を閉じる。
きっと、きっと。その先は、彼が教えてくれるのだろう。