許されるための儀式 - 3/4

 あれから一ヶ月ほどが経った。イシの村へ帰れる目処が立ったイレブンは慌ただしく過ごしており、マホウのオナホのことなどすっかり忘れてしまっていた。
 もともとは少しユグノアに滞在して建設現場を確認したらすぐ戻るはずだったのに、なんだかんだで数ヶ月も残ってしまった。カミュと会えない寂しさを抱えながら、それでも故郷を思い復興作業には手を抜くわけにはいかなかったのだ。だが明日にはイシの村に戻って、そしたら久しぶりにカミュに会える。そう思うと胸が躍り、イシの村へ戻る準備も捗っていった。
 そしてイシの村へ戻る前日の夜、自室で鞄の中の必要なものとそうでないものを分別している時に例の小箱が出てきてイレブンの背筋は固まった。
「あ……これのこと、すっかり忘れてたな」
 今まで自分はこれをニ度も使い、きっとどちらもカミュを苦しめただろう。話しても信じてもらえないかもしれないが、帰ったらまず彼に謝ろうと心に誓いイレブンは小箱を鞄に仕舞おうとした。
 しかし手が滑り、床に落ちた箱からは筒が飛び出してイレブンの足元に転がった。それを手に取るとカミュの姿が見えてしまい、明日には会えるというのに欲には勝てずイレブンは筒を握ったまま目を瞑ってしまった。
(今日は本当に姿を見るだけ……見るだけ、だから)
 
 カミュはちょうど着替えるところだったらしく、薄暗い部屋の中で服を一枚一枚脱いでいる。とんでもないところを見てしまったなと思いこれ以上覗き見することはやめようとしたが、それは叶わなかった。服を全て脱ぎ終えたカミュは寝巻きに着替えると思ったのに、そのままベッドに横たわると大きく足を開いたからだ。そして、まだ触ってもいないのにヒクヒク♡と疼いている窄みへ手を伸ばすと唾液を纏わせた自身の指でそこを弄り始めたのだった。
(カミュ……?)
 イレブンが夢中になってその様子を見ていると、カミュは「あ……ッ♡」と声を漏らしながらナカを解しはじめた。ぐにぐにと指を挿入し、それだけでなく上気した肌をなぞる様にして自身の胸を押し上げては揉んでいる。
 イレブンはカミュの胸を、今までじっくりと見たことなんてなかった。旅の途中にちらちらと目に入ることはあったし一緒に暮らす様になってからお互いの裸を見ることもあったが、胸だけを凝視することはない。
 ただ、イレブンはそこを見たいと思ったことは幾度となくなった。出来れば触れてみたい欲もあったが今まで何もできずに終わっているので見ることも触ることも無かったが……。そんな恋人の胸が今、あられもなく曝け出されている。これまでも彼の裸の状態での痴態は見ているが胸にまで注意がいかず、じっくり見ることなどなかった。
 イレブンは生唾を飲み、カミュの様子を伺う。ピンク色の乳輪はぷっくりと膨らみ、ぴんっ♡と尖った乳首は雄を誘う様にいやらしく色付いている。細身のカミュは筋肉はあれど脂肪は少ない。なので胸も薄いはずなのに、そこはカミュの手で柔らかく押し上げられながらやわやわと揉まれ、勃起乳首は指でシコシコ♡と扱かれていた。
 彼の胸について詳しいわけではないが果たしてこんな体つきをしていただろうか?と疑問に思っていると、カミュは胸をいじりながら自慰を続けていたのでイレブンはそれを目で追ってしまう。
「はッんぅ、ッうぁ、アぁっ♡あんっ、ひぅ……ッ♡」
 窄みの奥を弄りながら乳輪を指の腹でなぞり、乳首は下からコリコリ♡と引っ掻く様に触れている。その触り方や身体の作りを見て、彼にとってこれが今日初めての行為ではないのだろうと確信したイレブンは頭を抱えた。
(い、いつから?もしかして、僕があんなことをしたから……?)
 もしかしたらこの筒を使っていなかった一ヶ月の間、ずっと一人で寂しい思いをさせてしまったせいで、彼は自慰に耽っていたのかもしれない。自分が、彼を、カミュを変えてしまったのかもしれない。彼に、普通ではない順序で何かを教えてしまった。
 そう思うと目が離せず、イレブンはそのまま恋人の痴態を眺め続けた。

 カミュの指の動きに合わせてじゅぽじゅぽ♡と淫穴から水音が響く中、喘ぎ声に紛れてカミュがはっきりと言葉を発した。
「あっあぅ♡んぅっひぁん♡んぅ……イレブン♡はやく帰ってきて……イレブン、おれのイレブンぅ……ッ♡」
 名前を呼ばれている。応えてあげたいのに、自分は今そこにはいない。もどかしい気持ちを抱えたままでいると、カミュの自身を暴く指のスピードが上がっていった。
「こんなん、じゃ、足りな……ぁッ♡ぁんっは、ァっうぅ♡もっと奥、奥にほしぃ……やぁ、ああッん♡イレブンの、ぉ♡イレブンのちんぽ欲しいィ……――〜〜ッッ♡♡」
 絶頂したカミュの先端からぴゅるっ♡と白濁が溢れ、彼の腹を汚していくのが見えた。
 イレブンは鞄の中を漁るとキメラの翼を取り出し、ベランダに出ると迷うことなくそれを天へと掲げていた。

 * * * * * * *

 イレブンは真夜中のイシの村に辿り着くと、真っ直ぐ無心に自宅へと向かった。
 薄い明かりが灯る自宅のドアの前で軽く深呼吸をして耳をそばだてれば、室内からは注意しないと聞こえない程の喘ぎ声が聞こえてきた。間違いなくカミュのものだ。彼をこんなふうにしてしまった罪悪感と一人寂しく過ごさせてしまった愚かさを胸に抱きつつ、イレブンは意を決してドアを開けた。
 
「んぅ……。……い、イレブン……!?」
 突然帰ってきた同居人に驚くのも無理はない。カミュは一瞬で状況を理解すると飛び上がり、ぐしゃぐしゃになっていたシーツや布団を手繰り寄せて身に纏うがまったく意味をなしていない。今にも泣き出しそうな表情でベッドの上で固まっているがそんなことは関係ないのだ。イレブンはカミュのいるベッドへ腰掛けると優しい声色で「ただいま」と伝え、震えている恋人の肩を抱き寄せてキスをした。

 イレブンは無言のまま服を脱ぐとカミュをシーツに縫い付ける様に押し倒し、邪魔な布団を剥いで床に落としていった。
「ちょ、……ま、待てっイレブン。どうなってんのかオレ、ぜんぜん分かんな、ぃ……!」
「説明は後でするよ。それよりごめん、僕が君をこんなふうにさせてしまった。でも、僕だって……。……ねえ、カミュが許してくれるなら今すぐにでも抱きたい」
 イレブンが真っ赤になっている顔中にキスを落としながら告げると、カミュは「待て待て……!」とまだ慌てた様子で視線を泳がせていた。
「お前が帰ってきてくれて嬉しいよ。でも、そんな急に……それにオレ……、お前を気持ち良くさせる自信が、ない……」
 イレブンが細い首すじを吸いながら言えば、カミュは狼狽えながらも弱々しく返事をしてくれた。
「でも、君が僕を呼んだんだよ」
「……オレが?」
「うん。だから、帰って来たんだ」
 そう言って微笑むイレブンにつられ、カミュの強張った表情も柔らかくなっていく。唇にキスを落とすとどんどん深くなっていって、これは肯定の合図だと理解した。

 カミュが恥ずかしいと言うので明かりを全て落とすと部屋の中は真っ暗になったが、なんとか相手の姿は捉えられるほどに目が慣れてきた。
 そんな中でイレブンは押し倒したカミュの胸を両手で弄る。以前から興味津々だったこそに手を伸ばし、ぷくりと尖った勃起乳首に舌を這わせて吸い付いた。
「や、ぁア……ッ♡」
 舌先でつついただけでぴくんっ♡と揺れる身体が愛おしくて、イレブンはつい夢中になって卑猥に色づく先端を吸った。
「カミュ、おっぱい触られるの気持ちいぃ……?」
「んなこと、分かんなぃ……♡うぅ、でも……ッ嫌じゃ、ない……♡」
 つんっ♡と尖る生乳首を舌で転がし、時折乳輪を舐めるとカミュの喘ぎ声は止まらなくなっていった。甘く鳴きながら身を捩り、突き出された胸をもっと触って欲しそうにイレブンを見つめている。もう片方の胸を手で揉むと指に吸い付く様に柔らかくて、もにゅもにゅと揉んでいるとカミュが太ももをもじもじと擦り合わせ始めているのが見てた。
「イレブン……。えっと、オレ」
 ちらり、と物欲しそうに見上げてくる視線に喉が鳴る。彼が何を欲しがっているのか分かってしまい、イレブンはうるさい心臓を無視するのに必死になった。
「いいよ。僕ももう……いや、ずっと前から我慢なんて出来てないんだ」
「な、に……ッ!?」
 イレブンは太ももを持ち上げると血管の浮いている張り詰めた屹立をカミュの窄まりへとあてがう。
「ぅ……、おっきぃ」
 はじめてまじまじとイレブンの怒張を見たカミュは、聞こえるかどうか怪しい声で呟く。いきなりのことに緊張をしてしまい身体が強張ってしまっているが、イレブンが落ち着かせようと髪を撫でてくれた。
 
 ここに来るまでに既に本人によって解されているそこは淫らにもくぱくぱ♡と物欲しそうに開閉している。イレブンが先端を押し付けると、ちゅう……♡と吸い付いてきて、いつかの感覚を思い出した。
「……先に言っておくんだけど」
「な、なんだよ」
 イレブンの言葉に、カミュが不安そうに見上げてくる。イレブンは先端をにゅぷり……♡と押し込みながら、息を詰まらせるカミュに向かって口を開いた。
「もう、本当に我慢できないんだ。君もそうだと思ってるけど、嫌なことをしてしまったと思ってる。ごめんね……でも本当に、ずっと、君のことが好きなんだ」
「いれぶ、ん……、……ァあッ!♡ッや、ァんっああアっいれぶんっ♡ひぅッああっンん、ァぁあッッ♡♡」
 ずぷんっ!とイレブンが隘路を押し拡げるようにして挿入するとカミュは途端にぴゅっ♡と熱を吐き出しトコロテンしてしまっていた。それに構わずイレブンが腰を打ちつけているとカミュは腕を伸ばし、広い背中に抱きついてきた。
「ふ、ぁあッ♡んぁッあぅ、ァあんっ♡やっと♡ちんぽ来たァ♡イレブンのちんぽ♡オレも、ずっと待ってたァ……ッ♡」
 イレブンの動きに合わせながらカミュが淫らに腰を振る。もっと奥に、と強請るような恋人の仕草にどんどんイレブンの胸が高鳴っていく。
「ほんと……?僕のこと考えてくれてた?」
「うん♡一人で寂しぃ時も……あんっ♡イレブンのこと考えて、一人でシてて、ぇ♡ひっんぅ♡や、ぁあッ♡そしたら、ァ♡お前に抱かれてるみたい、にィ♡感じる時があってぇ……♡はァ、んぅ♡あぁっあん♡」
 きっと、カミュが言っているのはイレブンが例の道具を使った時のことだろう。カミュはあれがイレブンの仕業などと微塵も思っていない。どうやらイレブンのいない寂しさから見てしまった夢だと思っているらしい。
「なのに、少し前から何もッ感じなくなってェ……うう、一人でシてても寂しくって……おれ、おれ、お前に嫌われたんじゃないかって……だからお前は帰って来ないんじゃないかって、それで……」
 ぎゅ、と背中に回された手の力が強くなるのを感じた。全部全部、僕のせいだ。イレブンは自分を殴りたい衝動を抑えつつ、カミュのナカを抉りながら必死に締め付けてくる媚肉を擦り、思い切り奥を突いた。
「ッあぁっやあぁァ♡ちんぽ♡ちんぽ奥にきてるッ♡イレブンのちんぽ気持ちぃ♡んンっひぁんっ♡もっと、もっといっぱい来て♡」
「うん、もう離さないからね」
 どちゅっ♡どちゅっ♡と勢いよく突いている最中に善がるカミュに抱き寄せられてキスをした。カミュは連続でアクメしながらぷしゃっ♡ぷしゃっ♡と潮を吹いている。
 絡む舌からすべて伝わってしまいそうで、溢れる声も乱れる身体もぜんぶ独り占めしたくなってしまう。甘イキしているカミュの身体を抱きかかえたイレブンは彼に深く覆い被さり、一際奥を突くように体重をかけた。
「あ♡それっだめ、ダメぇ♡深いぃ……奥、きちゃうッ♡」
「だって、もっと奥に欲しいんでしょ?」
 どちゅんっ♡と深く突いて抽挿を繰り返す。すっかりイレブンのちんぽの形を覚えてしまったカミュは自分を犯す男の腰に足を絡ませ、より強請るように腰を振っていた。
「ぁんっ♡あ、だめ♡奥気持ちぃ♡やぁ、あっンん♡イく♡イくイく、またイっちゃうぅ♡イレブンのちんぽでイく、イく……――〜〜ッッ♡♡」
「もう、僕も……!カミュ、もう寂しい思いなんかさせないから……ッ」
 びゅるる!っと目一杯奥に種を注ぎ込んでイレブンは大きく息を吐く。同じタイミングで果てたカミュはメスイキしながら「ぁ、あ……♡」と声を漏らし、足や腰をガクガクと震わせていた。
 肩で息をしている乱れた恋人の姿を見下ろして、イレブンは射精したばかりなのに再び自身が張り詰めていくのを感じた。カミュもそれに気がついたのが、戸惑いながらもナカをきゅう♡と締め付け、イレブンを見上げている。
「あ……イレブンの、またおっきくなってる……♡」
「うん、ごめん……あとで説教なら聞くから」
 イレブンが挿入したままの状態でゆるゆると腰を動かすと、カミュは身体を捩りながら腕を伸ばしてきた。
「あぅ……ッ♡いいよ♡今夜はずっとこのままで……イレブンのちんぽ♡ずっとおれの中にいて……ッ♡」